ザッケローニ流 一流の組織マネジメント | チームスキル研究所のブログ

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チームスキルとはメンバーとチームが、最高のパフォーマンスと、更なる成長に向け、変化し続けるために必要なスキルの総称です。



11月の最終週に元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏の講演会に行ってきました。会場に入ると、500人ほどの監督ファンやマネジメントに活かしたいと考えるビジネスパーソンが集まっており、監督の登壇を今か今かと待っていました。

会場に姿を現した元監督、軽い小話で場を和ませます。リーダーの方のお話を聞く度に、トップの軽いユーモアと自己開示の大切さを感じます。とかく堅くなりがちな場に、リーダーは安全な場の提供を常日ごろから心掛けているのではないでしょうか。

話しは、3つのパートに分かれていました。

1.リーダーに求められる事とは

2.強いチームを創るプロセスとは

3.勝負時のマネジメント



リーダーに求められる事とは


まずは、「リーダーに求められる事とは」から。ザッケローニ流マネジメントを経験的に積み重ねてこられたとの事。

30年近く監督をやって、変わらなかったものが一つあるそうで、それは、「他の人がやっているからやってみようとは絶対にしない」だそうです。一流を目指すものは常にクリエーティブでなければならないという事でしょう。そして、重要な事は、ピッチ上のマネジメントと人材マネジメントを「状況に応じてフレキシブルに変える事」。今回は、ビジネスパーソン対象であったので、人材マネジメントのコツが伝授されました。



まず、基本は、「信頼関係の構築」。これがなくては何もはじまらない。信頼関係を構築する決定的なコミュニケーションの取り方があるのかと司会が尋ねると、「特別なものはない。4年間の積み重ねです。」という答えが返ってきました。この言葉は正に「信頼蓄積」と呼ばれるリーダーの行動です。リーダーに対する信頼の貯金が十分貯まると、リーダーの下にチャレンジを実践できると言われている実例なのです。つまり、ザッケローニ監督の信頼貯金が貯まり、サッカースタイルを変革するチャレンジが始まったという事だと考えて良いのではないでしょうか。



次に話されたのは、個々人の性格に対応したコミュニケーションの取り方を工夫する事。まず、自分との共通項を見つけて話し関係性を構築する。このブログを提供しているチームスキルでは、ハーマンモデルで個人の行動特性に応じた関係性の構築を紹介していますが、ザッケローニ流個別性格対応も、奥が深そうでもっと聞きたくなりました。



そして話す時は、選手の温度に気を付ける。23人中選ばれるのは、11人だけ。非常に繊細なコミュニケーションをとる必要があり、全員に対して話すだけではなく、個別に呼んで話されたそうです。


全員に対して話しかけるコツは、また別にあるそうです。まず、チームとして良かった事を褒める。そして次にチームとして今後どうすると良くなるかを話すというステップを踏む事。決して、個人の話にしないそうです。後半の修正を必要とするハーフタイムの時でさえ、怒りっぽい人は、個別にしかるような行動には出なかったそうです。自らのマネジメントスタイルを、直接指示を7割で、皆に考えて行動させるを3割とおっしゃっていたので、直接指示や怒り方にかなり工夫をされていたという事でしょう。

そして会社でいうと中間管理職にあたるキャプテンの長谷部選手を、自分だけでは届かない声を届けてくれる人と称賛しておられました。選手同士からも信頼されているだけではなく、チームが困難に陥った時に、先頭に立って言葉を発する人であり、また、自分に対する責任が強い人であるとの評もありましたが、会社組織においても、要になる人材に必要な行動であるように思いました。


強いチームを創るプロセス


「強いチームを創るプロセス」のパートでは、2つの視点の深堀がコツでした。一つは「人間を見る」「もう一つは「技術を見る」。流石ザッケローニ監督、リーダーシップ理論の不動の二次元の2軸にぴったり当てはまっています。2軸とは、Performance 軸とMaintenance軸。Performance(P)は集団が課題を達成する機能、Maintenance(M)は集団を維持していく機能です。サッカーだと例えば練習の方法を工夫するPと、選手が疲弊しないようにし更にお互いの心が離れてチームワークが乱れないようにするMというところでしょうか。

この2つの観点から、「何故上手く行かなかったに注目するのではなく、次にどうすると上手く行くかを考える」のだそうです。その上で「個々人を最大限に生かす事を考える」。NLP(Neuro-Linguistic Programming )においても、過去に起きた原因を感情的に攻めるのではなく、未来志向でどうすれば解決できるかを考える事の重要性が語られることが多いのですが、正に体現されているのでしょう。



リーダーシップの極意が、さらりと述べられ敬服いたしました。



そして、新しい事にチャレンジする時のポイントは、バランスと勇気。どちらが崩れてもチャレンジを成功させることが出来ない。世界の強豪に対して主導権を握れるチームになるには、4年間では足りなかった事を残念がられていましたが、「強豪をリスペクトするが、怯んではいけない」というマインドセットの重要性を重ねて話されていました。子供の頃、自分がボールを取るという事に夢中になった原点を忘れずに。確かに、子供の頃や、若い時に熱く燃えたエネルギー感を思い出すと、人はいくつになっても熱くなれる可能性を秘めていますよね。その熱さをもって、他人に振り回される事なく常に高いレベルで自分らしさを出すという事は、ビジネスの世界、いや人の生き方にも通じることでしょう。


勝負時のマネジメント


最後は「勝負時マネジメント」。

ブラジルワールドカップの時のお話になりました。コートジボワール戦の後のミーティングでは、まず良くできた事を話した。そしてチームとしての問題点を話したのでそうです。決して一人一人について話すのではなく、「あなた達」と呼びかけることに徹したそうです。負けた事が悪いのではなく、原因が問題であるといつも考えておられるとの事でした。

一方選手達の気持は、最初自信をもってワールドカップに臨んだのだが、初戦でその自信に疑問を持ってしまったという見立て。そして、各々の頭の中で、未来志向では無くて過去に執着して、何故負けたかの結果分析をしてしまったようだと感じられたのです。



それが見て取れたので、気持のリセットが必要と考えて、夕飯を外食するなど日常を変えてみたそうです。トップレベルのアスリートのメンタルケアの重要性を熱く語られました。常々、プレッシャーを取り除くには、ルーチンを変える事を行っているそうです。




そして、締めの話。相手をリスペクトしすぎず、そして自分達のサッカーを怯まずにできるようになるには、「歴史」が必要ですと。日本のサッカーの歴史は、20年。イタリアは100年。もっと歴史を積む必要性を強調されていました。これまでの4年間の成長を更に継続して歴史を積み上げる。もうすでに日本は、各国から恐れられリスペクトされるところまで来ている。もう少しで、自分達のサッカーが出来るようになると。

一流の組織のトップの方のマネジメント観聞く度に、常に自分に対しての厳しい姿勢を感じます。リーダーシップの研究者の方の話によると、リーダーは、自らに厳しい姿勢を課す価値観を公言することにより、更にその態度を貫く意思を固めるのだそうです。

http://soccer.skyperfectv.co.jp/static/event201410_lecture

(チームスキル風解釈を添えて/日日草)