妹は、快く私たちを泊まらせてくれていました。
けれど、いつまでも甘えているわけにはいきませんでした。
妹自身、家庭の事情で生活保護を
受けている身でした。
月に一度、市役所の方が様子を見に来ることになっていて、そこに私たちが居候していることが分かれば「人を養う余裕があるなら」と、保護を減らされたり、止められたりする可能性があったのです。
妹に迷惑をかけるわけにはいきません。
一日でも早く、新しい住まいを見つけることが急務でした。
さっそく不動産屋さんに向かい、いくつか物件を紹介してもらいました。
条件は、いくつかありました。
幼稚園からそう遠くないこと。
保証金や前金が、あまりかからないこと。
2DK以上の広さがあること。
家賃が、無理のない金額であること。
そんな中、下見に行った一軒に、
孫を連れて足を踏み入れた瞬間でした。
パパさえいなければどこでもいい、
そんな様子だった孫が、
部屋に入るなり床にぺたんと座り込み、
こう言ったのです。
「ここがいい!」
その一言で、決まったようなものでした。
けれど、そこから一番悩んだのは、
保証人のことでした。
妹は生活保護を受けている立場上、
保証人にはなれません。
兄もいましたが、過去に保証人になって
痛い目に遭った経験があり、
家族であっても「それだけは無理だ」と、
はっきり断られてしまいました。
背に腹はかえられず、悩みに悩んだ末、
私が頼ったのは、私の元夫の兄――義理の兄でした。
頼めるような関係ではなかったと思います。
弟を勝手に家から追い出した嫁。
義両親からは、養育費すら出すなと言われていたくらいですから、私はきっと、そう見られていたはずです。
それでも、思い切って義兄を訪ね、事情をすべて話しました。
義兄は、話を聞きながら涙を流し、
その場で保証人を引き受けてくださいました。
本当に、ありがたいことでした。
両親を最後まで看取った義兄夫婦だからこそ、
見えていたものがあったのかもしれません。
私を、これまでとは違う目で
見てくれたのだと思います。
人の縁というのは、思いがけないところで、
こんなふうに繋がっていくものなのだと知りました。