もう、冬の足音が聞こえそうな寒い日でした。
私たちは3人で
肩を寄せ合うようにして歩き始めました。
娘は終始、何かに怯えているように
キョロキョロと周りを見回しています。
そして、何度も
「タクシーに乗りたい」と言います。
どうやら父親が追いかけてくるのを
警戒していたようです。
私はバイクを押していました。
エンジンのかかっていないバイクはとても重く
手や足に痛みを感じていました。
それでも立ち止まるわけには行きませんでした。
孫は娘と手を繋ぎ小さな足で
一生懸命に歩いてくれていました。
「どこへ行こう?」
私は歩きながら必死に考えていました。
目的地もなくただとりあえずここから
なるだけ遠くに離れることが最優先でした。
とにかく今夜、泊まれる場所を
探さなければなりませんでした。