シットオンを使った本格的なカヤックフィッシングというスタイルの黎明期に、とあるホームページがありました。
それが・・・
TEAM N.W
2005年からカヤックフィッシングの情報を発信していました。
(実際は2004年にカヤックフィッシングを始めていたのですが、当時ネットに情報を出していいのか迷ってました)
このホームページのサーバーとして使っていたYahooジオシティーズが2019年3月末にサービスを終了しまったため、
ホームページ「TEAM NW」も時代と共に、広大なネットの海に消えゆきました。
今日は・・・・その旧TEAM N.Wホームページにあったコーナー
戦友たちのララバイ
コーナーからの転載です。
戦友達のララバイのコーナーは僕がそれまでに使ってきたルアーや道具の中でひときわ愛着があったアイテムを紹介するコーナーでした。
僕らが釣りをはじめてから一体どれだけの時間が流れただろうか・・・その間、購入した釣り道具はそれこそ星の数ほど。
今のルアーフィッシング、釣果が全てみたいな風潮がしてならない・・・もちろん釣りをしている以上それだって大事だけど、一昔前のルアーフィッシングにはもうちょっと「ワビ・サビ」があったと思ってしまうのは僕らが歳を取りすぎたからか?
たとえ釣れなかったとしても、一つ一つの道具には手にいれた時の興奮や釣行の記憶が詰まっている。
それはもう痛いほどに大事な思い出だ。
大切なのはストーリー。
釣り道具は素晴らしい!!
今回旧TEAM N.Wからサルベージした記事は・・・
~ハイスタとラパラCDマグナム~
ラパラCDマグナム
■投げ釣りが好きだったホエール、磯釣りが好きだったタツノリ。
くしくも僕らは同時期にシーバス釣りを始めた。時は90年代後半に差し掛かったころである。
シーバス釣りがキッカケで急速に仲良くなった僕ら、実はそれぞれシーバスをまだ釣ったことが無かった。
当時、相模川の、おもに河口と神川橋下流を中心に当時もう一人のメンバーも交えて通いまくって、通いまくって、通いまくって・・・ぜんぜん釣れなかった。
今思っても、場所的にはたとえまぐれでも釣れてもおかしくはなかったと思うのだが・・・アタリさえなかった。ボラや鯉さえ僕らのルアーにはかかってくれなかったのだ。
その間、約半年。釣行回数約60回連続ボウズ。もう記録もんである。
誰も教えてくれる人はいず、まったく0からのスタートだった為に目隠しされて歩くようなもんだった。
その間、一度も周りで釣れているシーンさえ見ることもなかったので、この頃の湘南シーバスはそれぐらい難しかったんだろうと思う。
僕らが通い始めるワンシーズン前までは河口の堤防の先端からバイブレーションを使うとかなり釣れたらしいのだが、その頃は既に河口が浅くなりすぎていてイマイチになっていた。
そんな僕らの釣果が上向いてきたのは「東京湾は釣れるらしい」というのを釣り新聞か何かで見つけてからだった。
そして、横浜エリアに進出し、セイゴながら初シーバスを上げ、そこそこ釣果を上げられるようになった。
今考えると明らかに外してしまっているルアーを使っていたのにもかかわらずポツポツ釣れてくれていた。
しかし、それから約1年半ぐらいはフッコクラス止まりでスズキサイズが釣れなかった。
そこで僕らは行動範囲を広げることにした。大学生の僕らは時間とエネルギーだけはありあまっていた。
横浜エリアから南下して横須賀方面に繰り出した。
僕らはタツノリのジャビット一号(いすゞジェミニ)で横須賀方面へ南下しながら良さそうな場所を探していった。
もちろん釣り自体も楽しいんだけど、車でカーステで音楽をガンガン流して深夜にドライブすることがきっと一番楽しかったんだと思う。
当然CDなんてついてないから、ダビングしたカセットテープだった。
僕らは社会という大海原に出る前で、自分は何かをやれる特別な人間だと信じて疑ってなかった。でも、それは何なのか?は分からないという青さ満点だった。
カーステからはその頃発売されたばかりのハイスタンダードのアングリーフィストが流れていた。
僕らはすっかりハイスタになりきってヘッドバンキングしながら歌いまくっていたけど、その実、一体何と戦ったらいいのかさえまったく分かっていなかったんだ。
そんな僕らの前に、工場地帯が見えてきた。立ち入りは規制されていない。車を乗り入れていくと、突如として大きな港が開けた。
ホエール「ここいけるっしょ!」
タツノリ「やってみるべか!」
周りを見渡すと、港の先端の方に二人釣り人がいるのが見える。シーバスマンっぽい。
ホエール「他の釣り人がいるってことは釣れてるんだべ、やばいよ、釣れちゃうよ~」
当時使っていたアホみたいに長くて強力なロッドに3号のナイロンラインを通し、キャスト開始!!
僕はバイブレーション、タツノリはメタルジグをひたすら沖にキャストした。
僕らはまだシーバス釣りを全然分かっていなかったから、遠くに投げるのが一番だと思っていた。飛距離が出れば出るほど釣れる気がした。
ある程度巻いてきてだめだと、急いでリールをぐりぐり巻いて回収しちゃったりしていた。
全然釣れないので、ミノーにしてみんべーか?と二人ともミノーに変える。
ホエールは某フローティングミノー、タツノリはラパラCDマグナム9。 この選択が、この場所では明暗を分けることに・・・
しばらくキャストを繰り返すも全く反応が無い。
あぁ・・・今日もダメか。まあいつもどおりだ。
そんな空気が流れ始めた時だ!!
タツノリ「キターー!!」
ホエール「またぁ、うそでしょ?」
この頃あまりにも釣れない僕らは、よく偽りのバイトやアタリを自演することがあった。はっきりいって何の意味もない行為だ(笑)
しかし!
タツノリの方を見ると・・・・既に足もとでシーバスの顔が見えている。
で・・デカイ(汗)
ホエール「まじかよ、上げられる??」
タツノリ「いや、無理だ。どうしよう」
そう、シーバスを釣りたいっていうわりには、タモさえ用意してない。そんなアマちゃんだった。っていうか実はまさかでかいのが釣れるとは思ってなかった。
ホエール「お・・俺、あ・・あっちの釣り人にタモあるか聞いてくるわ!!!」
ホエールが釣ったわけでもないのに、興奮で舌が回らない。
港の先端の二人の釣り人はやはりシーバスマン。でっかいタモを持っている。
ホエール「すいません、本当に申し訳ないんですが、タモ借りていいですか?」
釣り人A「シーバス釣れたの?俺たちも行くよ」
急いで釣り人達と三人でタツノリのもとへ。
おお、まだシーバスはついている!
釣り人にタモを借りて、ホエールがすくう。でも、ちょっと手が震えている。
はっきりいって、頭から入れるのか?尾っぽから入れるのか?さえまったく分かっていない(笑)
それでもシーバスがかなり弱っていたので無事にランディング。
長さを測ると・・・63cm!!!
うおーーータツノリ!N.W初のスズキサイズだーー!!
タツノリは既に茫然自失。あまりの感動に声も出ていない。
シーバスの口を持つ手が震えてうまくつかめない。い・・・いいなぁ・・・
釣り人にお礼をいって、タモを返すと、釣り人Bから「洗って返す!」と怒られてしまった。
タツノリ「す・・・すいません!洗います!」
釣り人B「もういいよっ!!」
悪いことしちゃたなぁ・・・
怒っている釣り人Bを釣り人Aがなだめてくれている。
釣り人A「それにしてもでかいな、あんなサイズのシーバスがいるんだな」
・・・あなたたちも僕らと一緒の釣れないシーバスマンだったのか。
そう考えると本当に悪いことをした。まだ自分も使ったことの無いタモだったら怒りもなおさらだろう。本当に申し訳なかった。
それにしても、今ではもう見慣れてしまった60cmクラスだが、この時のシーバスは本当に本当に本当に!大きく見えた。
大きい口を開け、エラをゆっくり動かしながら背びれを立てたその姿は雄々しいどころか、神々しくもあった。
こんなにデカイのが身近な海にいて、しかもルアーにアタックしてくる。単純にすごいと思った。
ホエール「いったいどうやって釣ったんだよ」
タツノリ「いや、足もとを平行に引いたら釣れた」
実はシーバスは足もとにいる。僕らはそんなことも知らなかったのだ。
後にこの場所をやりこむことで、実はこの足もとは全体的に水が抜けているバース状になっていて、この穴の中にシーバスがうじゃうじゃいることが判明している。
そして、足もとが少し高いこの場所では、マグナムのしっかりしたリップが足もとまでレンジを安定させてキッチリ泳いでくれたのだ。
まさに今時のテクトロでよく使われるルアーと原理は一緒。っていうか、今現在でもマグナムはこういう壁際のシチュエーションでは相当使えるルアーだろうと思う。
TEAM N.Wの記念すべき初のスズキであるということはもちろん、シーバスは足もとで釣れるんだ!ということに気づかせてくれた貴重な一尾となった。
そして、僕らのシーバスフィッシングにかける闘争心が本格的に火がついた瞬間だった。
そう、僕らは戦うべき素晴らしい好敵手を見つけたのだ!
※もちろんシーバスに怒りは感じてないですが!(笑)
ファイティングフィスト!
戦う拳!
アングリーソウル!
怒れる魂!
ネーバールーズマイファイティングフィスト!
俺は戦う拳を失わないゼ!
マイディアパンクス!
愛するパンクス!
アングリーボーズ!
怒れるやつらよ!
ネーバールーズユアファイティングフィスト!
お前らも戦う拳を失うなよ!
ドッドドドドドドドド・・・・
ゴーボーイズナウ!