カヤックフィッシングの艤装パーツにおいて、ナンバーワンは、なんといってもスコッティー社。ついでラム、細かいパーツでCODやヤックといった感じでしたが、近年、日本において急速に普及が進んできているのがレイルブレイザです。
カナダのメーカーであるスコッティーはやはりアメリカの艇で純正で採用されることが多く、ニュージーランドのメーカーであるレイルブレイザはオーストラリアやニュージーランドで純正で採用されることが多かったのですが、海外のサイトを見ていても最近ではアメリカでもレイルブレイザを装着しているアングラーが多くなってきているようです。
レイルブレイザの魅力はなんといっても、ワンタッチでロック/アンロックができる点。ベースマウントに取り付けるパーツの装着、取り外しがとても簡単です。
そして、円形のベースマウント自体の面積が小さく、これまで艤装できなかった場所に取り付けが可能となったりする点も魅力です。
ちなみに、スコッティーやラムといった他社メーカーとの互換性はありませんので、レイルブレイザのベースにはレイルブレイザのパーツしか取り付けることができません。
パーツもかなり充実してきています。
ロッドホルダーはもちろん
カメラを取り付けるカメラブーム
魚探を取り付けるプラットフォームは3種類もあります
ドリンクホルダーまであったり
携帯機器ホルダーがあったり
LEDの全周灯があったり
この他にも、高さや角度を微調整するためのエクステンダーなども充実していて、かなり痒いトコロに手が届くラインナップになっています。
これらのレイルブレイザ製品を取り付けるにはベースとなるマウントが必要です。
そのベースとなるマウントはいくつか種類があります。
ファルトボートなどパイプに取り付ける「レールマウント」
スコッティーのサイドデッキマウントを取り外した穴を活用できる「スターポートHD」
レールに取り付けることができるベースマウント「ミニポート トラックマウント」
壁面に取り付けることができる「サイドポート」
など……
ですが、なんといっても、ベースマウントで圧倒的に使われるのがコチラ!
レイルブレイザ・スターポートマウント
今回は、この一番一般的なレイルブレイザのベースマウント「スターポート」の取り付け方を解説してみたいと思います。
【スターポートの構造】
スターポートはこの3つのパーツから構成されています
スターポート本体
ゴムキャップ
スペーサー
この中で、ゴムキャップはあってもなくても機能的には変わりません。今回はゴムキャップ無しで取り付けをしてみたいと思います。
【オーソドックスな取り付け方】
今回はバイキングカヤックの端材を使って取り付け方を解説します。
タッピングビスを使った取り付け方になりますので、この方法が可能なのはポリエチレン製の艇のみです。材自体が固く、薄くできているABS艇やFRP艇の場合はタッピングビスでは抜ける可能性があるのでオススメできませんのでご注意ください。
スペーサーとスターポート本体を重ねます
この時、スペーサーに空いている大きい穴とスターポート本体の穴を合わせておきます。
付属のタッピングビス(鍋 5mm×35mm)2本を用意します
こんな感じで取り付けたい位置を決めて
インパクトドライバーを用意し……
タッピングビスを回して入れていくだけ!!
この時、ネジはカヤックの材にめりこんでいますので、シリコンシーラントなどのコーキングは必要ではありません。
プラスドライバーで手締めでも問題なく装着可能です
気をつける点!
最後までネジが入ったら、必要以上に回しつづけないことです。最後に空転を続けるとネジ穴が広がってしまうからです。
ですので、電動ドリルは最後空転をしてしまうのでオススメできません。もし使うならインパクトドライバーなわけです。
この点から、プラスドライバーを使った手締めが一番加減がしやすいです。
特に、材がしっとりとしているバイキングカヤックはいいのですが、ポリエチレン艇でも例えばテキーラのような材が硬い艇の場合は、手締めの方が空転しづらいので確実かと思います。
取り付け完了です。ハッキリいって、めちゃ簡単です!
裏から見ると、これだけネジが出ています。
バイキングカヤックのような、比較的材が厚く、柔らかめのポリエチレン製の艇であれば、純正のタッピングビス2本で十分な強度が出ます。
ホエールの自艇であるバイキングカヤックプロフィッシュ45も本体にはタッピングビス2本でスターポートを固定していますが、これまでネジが緩んだりマウントがガタついたりといった問題は一度も出たことはありません。
【さらにガッチリ固定したい場合】
皿ネジ(皿 4mm×25mm)を用意します
スペーサーの小さい方の穴に皿ネジを入れて、まずはスペーサー自体を固定します
コチラも手締めでも十分入ります
スペーサーが固定できました
固定されたスペーサーにレイルブレイザ本体をかぶせます
そして、前述の手順で鍋頭のネジ(鍋 5mm×35mm)を入れていきます
できました
見た目は同じですが……
裏から見ると、このようにネジが4本飛び出ています
スターポートマウントに重いものを載せたい時は4点止めの方がより安心感が出るわけです。(正直、2点止めでも十分だと思いますが……)
【ネジ+ワッシャー+ナットで固定する場合】
上記の方法は材が厚いポリエチレン艇の場合でした。では材が薄く(その分、強いわけですが)タッピングビスが使えないABS艇やFRP艇はどのように固定すればいいのか?という問題が出てきます。
また、バイキングカヤックのプロフィッシュ45や忍、オーシャンカヤックのトライデントやウィルダネスのスレッシャーのような股に間にコンソールがあり、そのコンソールの蓋に艤装する場合もタッピングビスだと蓋の下に鋭いネジ先が出てしまうと荷物や手を傷つけてしまう可能性があります。
その場合、ネジ+ワッシャー+ナットで取り付けてあげる必要があります。
ネジは通常のカヤックの厚さ、まな板無しのハッチの厚さであれば(鍋 6mm×30mm)で十分だと思います。
今回は、例として忍のセンターコンソールの蓋を使って撮影をしてみました。
もしABSやFRPのカヤック本体でネジ+ワッシャー+ナットで取り付けたい場合は裏から手が届く場所でないとこの方法が使えないので注意が必要です。
スターポートを取り付けたい場所にインパクトか電動ドリルで6mmの穴をあけます
スペーサーの大きい穴とスターポート本体の穴を揃えてください。
ドリルで2つの穴があきました
※注:カヤック本体の場合、この穴の部分にシリコンシーラントなどでコーキングをする必要があります。
(今回は忍のコンソールの蓋なので特に完全防水である必要がないのでコーキングをしていません)
ネジを入れて、裏側から支えとなるワッシャーを入れて、ナットを入れ、レンジで固定しつつ……
表側からドライバーで手締めをしていきます
できました!
ちなみに、ホエールの忍のセンターコンソールの蓋の上には、この方法で3つのスターポートが固定されています。
レイルブレイザはマウントが小さいので、小さいスペースにこれだけ打ち込んでもあまりゴテゴテしませんね。
裏側から見るとこんなカンジ
そのスターポートマウントにレイルブレイザのパーツを接続するとこんなカンジです。
手前左寄せのスターポートはドリンクホルダー
真ん中右寄せのスターポートにはスイヴルポート+ロッドホルダー
一番奥左寄せのスターポートにロータリープラットフォーム+魚探
このように、裏側から手が届く場所であれば、ABS艇やFRP艇でもスターポート+スペーサーを取り付けることができます。(繰り返しになりますが、カヤック本体の場合、下穴をあけるのでコーキングが必要です)
【ブッシングする方法もあります】
では、ABS艇やFRP艇では裏側から手が届かない場所へはスターポートは取り付けができないのか?
実はそんなことはなく、ブッシングする方法を使えば取り付けが可能です。
その方法を解説します。艇はお客様のABS艇のスキマーにフラッグ用にスターポートをブッシングで取り付けた時のものです。
この方法の時はスペーサーは使いません。上のスターポート本体のみを使用します。
スターポート本体を裏側から見るとこんなカンジになっています。中央、レイルブレイザーのパーツを取り付ける部分が円形に出っ張っています。
この円形の出っ張り自体をカヤックに埋め込んでしまうわけです。
スペーサーを使わずにスターポート本体のみであれば、穴の部分がとても薄くなるので、この方法であればリベットが使えるのです!
スペーサーが入ると厚くなりすぎてリベットが艇の裏側まで届かなくなるのでリベットは使えないんですね。
つまり、リベットが使えるので、裏側から手が届かない場所にもスターポートを取り付けることができるわけです。
つまり、リベットが使えるので、裏側から手が届かない場所にもスターポートを取り付けることができるわけです。
31mmのホールソーを使用します
取り付けたい場所に思い切って穴をあけます!
あきました!
ここにスターポート本体をカパっとはめ込みます
次はドリルです。リベットの径に合わせて5mmを使います。
スターポート本体に穴に合わせてドリルで穴をあけます
2つの穴をあけたら、一度スターポート本体を取り外します
穴にコーキングを施します
本体側にもべっとりと……
ふたたび穴にスターポート本体を戻し、リベットを2本入れます
ハンドリベッターでリベットを固定します
リベットで固定完了!!
あとははみ出たコーキングを綺麗に拭いて、終了!!
このブッシングする方法は、ABS艇やFRP艇で裏側から手が届かない場所にスターポートを付けたい時によく使う手法ですが、もう一つのメリットがあります。
それは……
高さが低くなること!
比較してみます。
右がスペーサー無しのブッシング
左がスペーサー有りの通常の高さ
一目瞭然でスペーサーがない分、艇からの出っ張りが少ないです。車載時に当たりやすい場所にスターポートを取り付けたい場合、ポリエチレン艇であっても、艇に大きい穴をあけることにはなりますが。あえてブッシングしてしまうのも一つの手です。
スターポートは小さく、コンパクト。そして価格も安いので、結果的にどんどんマウントしてしまいたくなっちゃうんですよね。
スコッティーとは互換はしませんが、ロッドホルダーはスコッティー、魚探はレイルブレイザというふうに2社を使い分けている方もいます。レイルブレイザの良いところ、スコッティーの良いところ、それぞれありますので、ケースバイケースで艤装してみるのも面白いと思います!