たまにはね、自分の思いを語ってみようと思うんだ。
いやいや、大した事があるわけでもないんだけど、長男として育てられた私は「こうあらねばならない」「こうすべきだ」という感覚が世間並みに強かったんだ。
ずっと心に
「不自由だな。本当に自分の生きたいように生きると、どうなるんだろう。」
と思いを抱きながらね。
学校の校則が異常に厳しくて先生も意地が悪かったし、大嫌いだった。
「俺たちは、狭いかごの中でしか動いちゃいけないのか。」
と絶望しながら過ごしたよ。
それでも親が教育にお金を惜しまなかったおかげで大学にも行けたし、恵まれた環境ではあったかな。精神的な面以外では。
あ、決してグレたわけでもなかったし、学校にも行っていたよ。
(学生は学校に行かねばならない)
と思っていたからね。遊び半分でタバコを吸ってみたり、缶チューハイを試しに飲んでみたことくらいはあるけれど、男の子が一度はやってみたい小さな冒険だよね。
転機は大学生の時かな。一人暮らしをして、バイト代でバイクを買い、自由に動き回れるようになった時に思ったんだ。
(俺、自由を手に入れたのに何もしていないじゃん)
とね。
飼い慣らされた鳥のように、以前に居た「かご」の大きさの範囲でしか動いていないのはなぜだ?
そうさせているのは誰だ?親か?友人か?大学か?
違うよね。自分の心の制約が強すぎることに気がついたんだ。
じゃ、どうする?
自分で壁を破るしか無い。
まずは就職?
うん、皆が嫌がる仕事に就いてやろうじゃないか。そうだ、車のディーラーなんかどうだろう。車が好き?いや別に。
営業がやりたい? いや、まったくやりたくない。
自分の嫌いな道を選ぶことに、その当時の俺には価値があったんだ。
でも母親は俺の本性を見抜いていたね。
「あんたは大人になったらヤクザになると思ってた。」
と就職してしばらくして俺にそう言ったんだ。
確かにイキがって歩きたい時期はあったけど、成績は悪くなかったし、グレてもいないし、喧嘩に明け暮れたようなこともないのに、どこかに潜む凶暴性みたいなのを感じたのかな。
ま、それはともかく就職して、とことん暴れてやろうと思ったわけさ。営業マンとしては悪くない成績も残せたし表彰もされた。史上最年少の24歳で営業所長にもしてもらったよ。
ごく小さな社会で、エリートであるかのような錯覚もあったね。
「こんな俺なら、もっと上を目指せる!」
と思って、上場企業に転職したんだけど、地獄が待っていたね。ろくな社会経験も業務知識も無いものだから、エリート気分が一気に「ダメなやつ」に転落したんだ。
さて困った。
32歳にもなって「仕事ができない男」であることに気づいてしまった。
暗黒の日々が始まったんだ。
できることは少ない。お金もない。
じゃ、どうする?
うーん、とりあえず本を読もう。
効果があるのか分からない。100冊読めばよいのか、10冊でよいのかさえ分からない。でも、他にできることはない。
ちょうどその頃、Amazonが古本も売っていることに気がついたんだ。これなら少ない小遣いの中から本が買える。ベストセラーなら、本代は1円と送料で買える。ありがたい。
週に5-10冊の古本が届く日々が始まったよ。
本を読むことで、自分に絶望して落ち込む心を紛らわせるから、本だけが救いだったかもしれない。
たぶん500冊以上は軽く超えていると思う。
気になったり、心に刺さった言葉はノートに書き写し、10日に一本のペースでボールペンも消費していたと思う。
その結果、何が起こったか。
自由が手に入ったんだ。
自由に動きたい心が、考える力を得て自由自在に動けるようになったと言うべきかな。
やりたいことは自分で考えて実行でき、全てとは言わないけれど成功もいくつかあり、失敗からは学び、そしていつしか自分で会社を作っていたんだ。
「個人事業主から始めないの?」と心配して助言してくれる人も居たけれど、「代表取締役」になりたかったんだ。個人事業主では代表取締役にはなれないものね。だから、売上の見込みはなかったけれど、最初から株式会社を作ったんだ。
少し思い出ばなしが過ぎたかな。
ようやく本題だよ。
人生で起きたことは、すべて自分の糧にした。良いことも、悪いこともね。それ以外にできることはなかったんだ。
だから自分に自信なんて今でもないし、自分の決定に自信を持てたことも一度もない。ただ[自分発]で思いは周囲に伝えてきたし、そのとおりになっているんだ。
「自信がついたら動く」これだけはダメだ
と言いたい。
自信が無いから精一杯動く、考える。
能力の低さを知っているから、なんとかしなきゃと動く。
それしか無いんじゃない?凡人だもの。
そしてもう一つ。
「自分探し」は無駄だ
そもそも自分を何処かに落としてきちゃったの?
そうじゃないでしょ?
もともと無いものなんだよ。沢山の出来事や、誰かの助けをもらいながら自分で自分を磨いて、ありたい姿に近づいていくんだよ。
そう、人生ゲームを自分で作っているような感覚かな。
ゴールも自分で自由に決めて良くて、ルールも自分で決めて良いなんて、こんな楽しいゲームが他にあるかい?
お金の有無が価値っていうなら、俺もまだ全然だ。
でも
「生きたいように生きているか?」
と聞かれたら、迷わずYES!と答えるね。
自分の人生は、ただ生きていれば良いのではなくて、持って生まれた性質を、どう使い切るかじゃないかな。
あとは「やるか、やらないか」だけ。
今の自分が一番若いんだよ。動こう。自分で。