八月の砲声
THE GUNS OF AUGUST
本書はバーバラ・ワーセイム・タックマンによる歴史書である。1963年にピュリッツァー賞を受賞している。また本書は世界中でベストセラーとなったが、アメリカではジョン・F・ケネディ大統領が1962年のキューバ危機で本書を参照したといわれている。
1914年のサラエボ事件は社会科、世界史の授業で学んだ。学んだ内容を大雑把に記せば「オーストリア皇太子であるフェルディナント夫妻が青年によって暗殺された」ということだろう。そして、このサラエボ事件がきっかけとなって第一次世界大戦が開戦したということであった。
この授業で習ったことは世界史、ヨーロッパの歴史として最適解かとなると違うであろう。簡単なキーワードとしての説明ですが、暗記して覚える最低限のことでしかないのである。そもそも、第一次世界大戦とは後の第二次世界大戦によって名称された後付けである。ではなぜ、オーストリア皇太子夫妻の暗殺が世界中を戦火に巻き込んだのかということである。
きょうの日本経済新聞「日曜に考える」に85年前の9月18日に起きた柳条湖事件についての記述があった。いわゆる満州事変のことである。この満州事変についても多くの場合がキーワードの暗記ということではないかという指摘であった。この記事で論説委員長が伝えたいことは歴史の教育における深い「なぜ」という考察を取り入れることは必要不可欠ということだろう。
きょうの新聞であれば、85年前に関東軍が「なぜ」柳条湖事件を起こしたのかである。その「なぜ」を突きつめると日露戦争にさかのぼり、ペリー来航の1853年に行くかもしれないということだった。本書『八月の砲声』でも第一次世界大戦のきっかけがサラエボ事件だとして、三国協商・三国同盟というキーワードの背景にあることを考えさせてくれる。「なぜ」あの日、最悪のタイミングといわれる日にオーストリア皇太子がサラエボに行きボスニア系セルビア人の青年によって暗殺されたのかでもある。
第一次世界大戦は1914年から1918年の期間にヨーロッパ、アフリカ、中東、中国、太平洋での戦火となった。歴史とは「なぜ」を深くさかのぼり考察することだろう。この第一次世界大戦に日本が参戦したことも、85年前のきょうに影響していることだろう。久しぶりに分厚い本書を読みながら、真に歴史を学ぶことの意義の重要性を痛感している。
止まることのない超高速でグローバル化が進展する現在だからこそ「過去の歴史に学ぶ」ということは必須のスキルだろう。そうでなければ本書『八月の砲声』にあるように誰も望まない戦争によって、もはや人類絶滅の道に進みかねない引き金を知らぬ間に弾いてしまうかもしれないのではないだろうか。
Thank You!
