この手のビジネス書は、まず迷うことなく読んできた。書店では勝手に手が掴んでいる、これを俗に言う“本が買えと言っている”という現象だと思う。
本書は、日立製作所相談役の川村隆さんによる「日立V字回復の物語」ということになる。本書のように企業の経営者による奇跡の物語は、経営者の思想と哲学にのみ着目することにしている。奇跡の物語というのは失礼かもしれないが、企業業績の変更には着眼を大きくはおきません。本書であれば「ザ・ラストマン」だけになる。
なぜそう割り切るかというと、本書だけではないが企業のサクセスストーリーは、その後にまったく違う結果になることがしばしばある。その後の凋落や不祥事などである。
また、V字回復前には散々だったように、ある経営者によって、ある時期に企業業績が大きく好転した程度にしておくべきだと考えている。大事なことは、その時期に経営者がとった行動と戦略の背景にある考え方を読み解くことだからである。
「ザ・ラストマン」とは、とても響の良い言葉である。その考え考え方はシンプルであり「最終的な責任は自分でとる」という意識と覚悟で仕事をしている人である。
言うのは易しく行うは難しい。しかしシンプルな思想と哲学である。「ザ・ラストマン」になるためには、日本の伝統的な精神論ではない。必要なのは、物事を客観視して状況把握することであり、自分の頭でしっかり考えて戦略とストーリーを作ることである。そして、その戦略をわかりやすく周囲に伝えて行く説明能力も大切になる。
著者の考え方に共感することは、日本もしくは日本人が変えたがらない、ないしは現状維持を思考するフシがあるという指摘である。これでは世界の変化に飲み込まれてしまうのは自明の理ということだ。
「ザ・ラストマン」とは、経営者に限った話でもない。当事者責任の意識と覚悟を持てということだと思う。それを実行していけば企業だけではなく、日本という国がV字回復するのではないだろうか。
Thank You!
