
チャイナ・ウォーズ
THE COMING CHINA WARS
ピーター・ナヴァロ 著 小坂 恵理 訳 イースト・プレス
本書は米国で2007年に刊行され2009年に改訂増補したものを翻訳し2012年10月に日本で出版となった。内容は極めてシンプルで、表紙を見たとおりと言えばいいだろうか。あまり好きではないが右と左という区分をするならば右的表現だとも言えるかもしれない。ただし、目を逸らすことなく読み続けていく価値はある。
著者が「汝の敵を知ること」という表現で「中国という敵をあらゆる面から理解して、相応の準備を整えることだ」としている。日本にとって隣国の敵か友人か別として、理解と準備をすべきというのは頷ける。
本書にあるいろいろな事例は新しい話ではないかもしれない。しかしながら、本書であらためて読むことは危機感と緊張感をもつことになる。ただし、解決策の内容については正直なところ懐疑的なものもある。「日本が核兵器開発と再軍備の道を選ぶ可能性」という件があるが、あまり論理的とも思えないからだ。
ただし、本書は現在も続く日中問題の本質的な要因というものと中国でのビジネスのリスクを再認識をするうえで参考になるだろう。
最後に、著者が指摘する考え方で一部を引用してみたい。
日本もほかの国々も「報復という要因」が中国の経済外交政策の原動力となる可能性を排除すべきではない。中国の歴史を振り返ってみれば、諸外国から目に余る条件を押し付けられたり、海外進出の野望を阻まれたりした事例には事欠かない。「アヘン戦争」では大英帝国から、台湾をめぐる軍事衝突ではアメリカ合衆国から「大きな屈辱」を受けている。
毛沢東主義や文化大革命など、そもそも中国には熱狂的な行動や過激主義に走る傾向があるところに加え、現在では政治的な圧力が国内で日増しに強まっている。だから「報復」的な要素が中国の政策に繰り返し登場しても、ちっともおかしいとは言えない。
たしかに中国が友人のように見える部分もあるだろう。しかし、いま指摘した現状を考えるだけでも、中国が従来ほぼ一貫してとり続けてきた姿勢を崩さず、経済だけでなく軍事においても日本の敵であり続ける可能性のほうがはるかに大きいと言えないだろうか。
チャイナ・ウォーズ 中国は世界に復讐する/イースト・プレス

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