10月12日の日本経済新聞マーケット欄のコラム『大機小機』を読んで思うところを記したい。タイトルは「復活したケインズの不確実性」だ。コラムから引用すると要点は以下のようになる。
「計算できないリスクに多くの市場参加者は直面していると考えたのがケインズである」
「金融危機後に復活したケインズとは、実体経済が落ち込んだときに財政政策の有効性を唱えたケインズよりも、むしろ将来の価格や利益を予想して投資が行われる資本主義経済では常に不確実性が伴うことを洞察したケインズだった」
「現在も余波が続く3年前の金融危機は、将来の証券価格や利回りが不確実だから生じたわけではない。投資のリスクは計測可能であり、もしものときは保険でカバーできるはずだというおごりを持った人々が引き起こしたのである」
「上がるか下がるか分からないのを承知で賭け金を投じる野心家だけが参加するなら、一部の個人が破産することはあっても金融危機に発展することはない」
私なりに思うところを記してみた。現在が、ケインズの時代と同じ環境にはないが、経済学における「不確実性理論」は的を得たものだろう。
そして何よりも、金融危機の真因をたどれば、市場規模の拡大、商品の選択肢の拡大、商品性の発展などがある。その昔、株式であれば現物と信用取引だった。その後、先物、オプションにはじまり発展していった。その他金融商品にいたっては、デリバティブ(金融派生商品)CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などをはじめ、一般個人投資家では理解できないような類にまで進化した。そうした意味で、ケインズの時代よりも、むしろ不確実性は高くなったのだ。市場の発展と商品・参加者の多様性が増した分、不確実性と危機の度合いも巨大になったのではないだろうか。
ふと一人そう思うのであった。 了