TAKE’S【FEVER日記】


民主主義という不思議な仕組み

佐々木毅 著 ちくまプリマー新書 



戦後最大の未曾有の事態となった東日本大震災。その後も大きな余震が繰り返し発生している。そして世界中が注視する原発事故の問題だが、未だ解決に向けた見通しは見えない状態だ。震災後の支援では近隣諸国のみならず、多数の国が日本に支援を表明し実行してくれた。そして現在は、原発事故についての日本政府の情報に注視し、楽観・悲観の双方の見方が出ている。


こうした事態の中にあって、被災地の復旧と避難している住民の対応を大きな余震が続く中で進めていかなくてはいけない。また原発事故では、「レベル7」に引き上げられたことが国内外に衝撃を与えている。しかしその一方で、一部の地域を除き統一地方選挙が告示され自粛気味ながら選挙がされている。


未曾有の事態の中にあって、危機を克服するために政府会議が乱発、名作映画『会議は踊る』を連想させる。しかし実際のところ大震災から一ヶ月を過ぎた状態では「会議は踊る、されど進まず」という印象を持つのは私だけではないでしょう。こうした不思議なことが、なぜ起きるのでしょう。


現在の日本の状態で、本書『民主主義という不思議な仕組み』を再読してみたくなりました。本書は「民主主義」というものを理解するうえでとても優れた内容ではないかと思います。民主主義は素晴らしいはずだが、民主主義の抱える不思議な問題についてやさしく解説している。



日本も相当長い間にわたって民主主義を実践してきました。こうした体験を重ねてくれば、民主主義の「素晴らしさ」を説く議論があるかと思えば、他方ではそれを「けなす」議論をしていい気分になっている向きもあります。しかし、それもそろそろ卒業すべきでしょう。日本の民主主義はまさに、こうした段階の真っ只中にいるのです。つまり、そろそろ欠陥や「訳の分からなさ」を見据えながら、それを具体的に改善する方法を探らねばなりません。民主主義の「素晴らしさ」を讃える議論とそれを「冷やかす」「けなす」議論とのやりとりは、いわば空中戦というべきものです。しかし、本当に必要なのは、地道に一歩一歩何をどう変えていくかという地上戦なのです。

(本書「はじめに」12㌻より抜粋して引用)



本書では、アリストテレスから福沢諭吉まで、いろいろな民主主義における論点が盛り込まれています。


英国宰相のチャーチルの名言「実際のところ、民主制は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた、他のあらゆる政治形態を除けば、だが」(あらゆる政治体制に民主制が打ち勝ってきたことを挙げて)という言葉があります。そして、米大統領リンカーンの名言「人民の、人民による、人民のための政治」という民主主義を表す言葉があります。


著者の言う「地上戦」で「民主主義」を議論していくためには、一部の人民だけではなく、幅広い人民による、民主主義の理解が必要ではないでしょうか。そしてそれこそが、踊る会議から脱却し、より良いものに進むための一つの方法ではないかと思います。


本稿、以上