走行中にクランクプーリーが外れるというトラブルが発生して急遽引取りに行った2006年式のアルトバンです。
この型のアルトはワークスが無くなったりターボエンジンが無くなったりで、なんだかパッとしない印象でしたけど、そのせいか安く買える点では今が旬?かもしれません。
クランクプーリーのボルトが緩んでプーリーが外れてしまったみたいです。
どうやら同様のトラブルは多いらしく、現在供給されるボルトは対作品に変更されているみたいです。
リコールやサービスキャンペーンの情報を調べてみると、少し前の年式までは対象になっているものの、この車両は何故か対象外になっていました・・・
プーリーのクランクシャフトに嵌る部分は空回りして削れてしまってます。
画像では分かり難いですが、キーも削れて半分無くなってます。
クランクシャフトはなんとか大丈夫そうですが、奥にあるカムチェーンのスプロケはダメージを受けていますし、キーはスプロケとクランクプーリーにまたがって共用されているので、交換するためにはフロントカバーを外す必要があります。
フロントカバーを外すためにはカムカバーとオイルパンを外す必要があります。
それと、ウォーターポンプのプーリーも邪魔をしていますが、プーリーだけを外せる構造ではなくウォーターポンプを本体ごと取り外す必要があります。
オイルパンを取り外すにはマフラーが邪魔になりますが、エキマニと繋がっている部分のボルトが酷く錆びていて緩みそうな状態ではありません。
エキマニのフランジ部分をガスバーナーで炙れば緩みそうですが、近くにラジェーターがあるので、そこも外す事になりました。
そして極めつけはトランスファーです。
2WD車なら問題なかったと思いますが、オイルパンを留めているボルトの内の1本がトランスファーが邪魔で緩める事ができない情況です。
これも外す必要がありますが、後方のエンジンマウントがこのトランスファーに付いていますし、車体の右側のマウントはフロントカバーに付いていて、残りはミッションに付いている左側のマウントのみですので、エンジン本体を別に支えて作業する事になります。
ここまで来たらエンジン降ろしたほうが良さそうな気もしますが、そうなるとサスペンションメンバーも外す事になりそうなので、なんとか車上で作業する方向で進めます。
走行距離は12万キロを越えていますが、オイルメンテが良かったみたいで中身は綺麗です。
内部がスラッジでドロドロだったら修理はあきらめて乗り換えを勧めるところでしたが、この状態ならまだまだ活躍してくれるでしょう。
クランク周辺の交換部品です。
新品のボルトは何故かツバの部分の径が小さくなっています。
ツバが大きいほうが緩みにくい様な印象がありますけど、どうなんでしょうか。
漏れもガタも無かったですが、外したついでにウォーターポンプも新品に交換しておきます。
裏のケースも一体ですが、金額はそれほど高くないです。
チェーンを取り外す前に合いマークを合わせておこうと探しましたが、なんか合わないと思ったら排気上死点で合わせるんですね。
普段扱っている年代ではないので知りませんでしたが、理屈さえ分かれば問題無しです。
他にもついでの作業が追加になりましたが、なんだかんだでとりあえず完成。
もうバラす事は無いという前提で、クランクプーリーのボルトはネジロックをたっぷり塗って締めておきました。