景子が、自分の勤務する病院に救急搬送された事で、職場に家庭の事情を伝えなくてはならなくなりました。
これまで、臨時職員だったので、正職につくことを目指し頑張ってきていました。
上司に退職願いを提出すると、「凄く頑張ってくれているから、このまま残らない。正職にならない。」と、声をかけられました。
生きがいに満たされていた職場を辞める事は、辛い決断でした。
「娘の事は、今までは、黄色いシグナルだと思っていましたが、今回は赤いシグナルに変わったと思っています。
私は、娘の命の方が大切なので、申し訳ありませんが辞退させて頂きます。」そう伝えました。とっても残念でしたが、この決断に納得していました。
この時、夫は、娘が意識をなくしてしまったことが、納得いかなかった様子で、通っていたクリニックで主治医に伝えました。
「どうしてくれるんだ!」と、言わんばかりの言動だったと、記憶しています。
でも、驚いたのは医師の言葉でした。
「娘さんに出している薬は、100錠飲んでも死んだりしませんから。」明らかに、自分の行為を擁護する発言に聞こえました。
死ななければいいと、言う問題ではありません。
処方が、間違っていない事も知っています。
娘が、いけない事も知っています。
でも、心を扱うプロが、家族の気持ちを踏みにじるような、発言はない!「この人、人の気持ちが何もわかっていない!」そう、思わずにはいられませんでした。
医療への不信感・猜疑心は、増すばかりでした。
私も医療従事者なのに…情けない気持ちと、「私も同罪。同じことをしてきたのかも」と、違和感と不快感が湧きました。
『どこに行けば、誰に相談すれば、この問題は解決するのだろう?』疑問だけが、残りました。
職場で、娘の事が分かると ”恥ずかしい” という気持ちになるのかと想像していましたが、そんな気持ちにはなりませんでした。
それどころじゃなかった。と、いうのもありますが、何とかしようと懸命だったので、後ろめたい気持ちにはなりませんでした。
こうやって、少しずつ、私は強く、たくましくなっていきました。