キュイーン
ジャカジャカジャカ、ジャン
みんな、ちゃんと起きてるかい。
ほら、朝だよ。目ぇ、覚ましな。
わしゃ、地獄の手前の関門を守る奪衣婆（だつえば）、
おしずってもんさ。
ちなみに本名は、山村しずさ。
英語で言えば、マイネームイズ シズ・ヤマムラだよ。
どうだい、かっこいいだろう。
わしの仕事は、あんたたち人間が死んだ後に、極楽へ行くか地獄へ行くかへ判断することだ。
厳密に言えば、それは
亭主の閻魔が裁くから、わしがするのはサポートなのさ。
内助の功ってやつだよ。
くわしくは
この本
「うしろのおしず」を読み直すんだね。
すると、いかにわしが、あんたたち人間に日々チャンスを与えているかがわかるはずさ。
「言ってしまった」
「やってしまった」
「傷つけてしまった」
「マズいことをした」
「どうしよう」
生きてりゃこんなことがよくあるはずだよ。
だったら、なんで取り返そうとしないんだい？
悪かったなら、謝んな。
傷つけたなら、反省しな。
そして、それを相手に伝えるんだよ。
あんたたちには口があるだろう？
耳だってあるはずだ。下げられる頭もある。気持ちを伝える手紙を書く指だってあるんだよ。
チャンスだらけじゃないか。
わしらがこうしてチャンスを与えているのさ。
そのチャンスをちゃんと生かすんだよ。
生かしもしないで、後悔ばかり。バカのひとつ覚えみたいに、「あの時こうすれば」と嘆いているんだから世話ないね。
チャンスをやってるんだから、とっととそれを生かしな。
死んで地獄で悔む前にね。
さ、わかったら今日も頑張るんだよ。
めしを食って汗をかいて、人と交わるのさ。
人生それしかないんだからね。
頑張んな。
おしず
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今日もご愛読ありがとうございました！