僕の職業は物書きである。

文章を書いて、それを世に出すのが仕事だ。

書店に本がドーンと並べば、

「あ~、文字書くだけでいい仕事なんて楽だよね~」なんて心ないことを思う人もいるだろうし、

新聞などに、

「たちまち3刷り!!大ヒット!!」などと広告が出ると、
毎日、連載やコラムを書いて、まあブログやメルマガも書いているけれども、

「原稿料とか印税とかしっかり入ってくるんでしょ?いいよね~、好きなことで稼げるんだから」

なんて言われたらかつての僕なら間違いなくネットリとしたわずかな殺意が、いや、拒否反応が出ただろうが、

今となってはもうそんな気さえ起きない。

世の中には、一定数の「いろんな意味で残念な人たち」がいることがわかってからはあまり気にしなくなった。

なんせ、あの伊坂幸太郎さんでさえ知り合いから、

「小説家って儲かるの?本とか余ってるなら、もらってあげるよ」とかいまだに言われるそうだ。

天下の伊坂幸太郎に対して、「なんと残念な人であろう」と思う。

(僕など、伊坂先生のサイン本を買うために書店に並ぶというのに!!)

 

そして、物書きや作家というのは実は孤独だ。

【岸辺露伴は動かない】に出てくる

 

 

ぶっ飛びキャラの獅子十五(ししじゅうご)だって、

「おいおい、露伴先生よ。せっかく会ったんだから、話でもしようじゃねえか。

漫画家なんてよ、想像を絶するくらい孤独な仕事だろ?いつのまにか話し方忘れちまうくらいによ」

的なことを言っているし、おそらく僕らもそんな職業なのだと思う。

 

あ。

 

 

 

これは、小野寺S一貴も動かない、の画像だ。

ちょっと遊んでみた。

 

そんなわけだから、編集者との打ち合わせは嬉しい。

人と話した感がある。

オンラインでも大歓迎である。

 

そして、このお盆。

世間では新型コロナBA.5(ケンタウルス)が爆発的な威力を発揮し、そうそう外にも気軽に出られない。

そんな僕の小さな楽しみは、近所をジョギングすることだ。

もちろん仕事がメインのこのお盆だが、息抜きは必要である。

僕はジョギングシューズを履いて、颯爽と走りに出かけた。

 



うっほうっほと人気(ひとけ)のない所を走る。

走りながらいろんなところを見る。

広瀬川沿いを走るのは好きだ。

森の向こうに仙台の街が見える広場で休憩する。



鳥が鳴いている。虫が飛んでいる。水の音。

お寺の石段を登る。

気合で登る。

自分の心臓の音が聞こえる。

蝉の音がジージーとこだましている。

 

おのでらさーん

 

ん?

なにか聞こえた気がする。

 

だがしかし、気のせいだろう。

ザっと見渡しても近くには誰もいない。

見えるのは少し遠くにお墓参りしている家族が何組か。

だけど僕の知っている顔はない。

まさか、蝉が呼んだわけではあるまい。

 

まあ、いい。

うっほうっほ。

もう少しで頂上だ、頑張れ俺!!すげーぜ、俺!!

 

おのでらさーん

 

んん?

また聞こえたぞ。

どこだ?誰だ?

あたりを見渡すが、やはり遠くの方にお墓参りをしている人たちが何人かいるだけで、知り合いはいない……。

 

まさか、この自然の中の妖精が僕にエールをくれたのか。

首をかしげながらも、僕は石段を降りた。

 

自宅に帰り、シャワーを浴びる。

ちゃんとシャンプーで髪も洗うのだ。

さすがにリンスはしないけれども。

 

身体を拭いて、リビングに行くと、チーンルンルン

スマホが鳴った。

誰かがメッセージを送ってきたらしい。

どれどれ。

 

「お米です!!小野寺さん、さっき大年寺山登っていたでしょ。

僕、ちょうどあそこにいたんですよ。

で、声かけたけど聞こえませんでしたね。話したかった、残念!!

また今度どこかで会えたら」

 

なんと、お米の妖精からであった(^^;)

 

あ、お米の妖精はこの人……いや、人じゃないね、こちら。

 

 

アロス・オキノ

 

同じ仙台に住むお米の妖精でいて、ヒーロー見習い。

この人、ワカさんの大ファンで、ある時、突然自宅にやってきたことがある勇者である。

(その時はワカさんもノリノリで、こうやって遊んでいた)

 

 

 

聞けばお墓参りしてたらしい。

ってか、お米の妖精も先祖供養するんかい(^^;)

やっぱり先祖は古代米かな。

 

それにしても、僕、けっこういろんなもの見つけるの得意なのに、

どうしてみつけられなかったのだろう。

 

やっぱり妖精だったからだろうか(笑)。

 

お盆はやっぱり、いろいろなことがあるのかもしれない。

……いや、どうやら素顔でお墓参りしていたらしくて、

僕がお米の素顔を忘れていただけであった(^^;)

 

ごめん、お米。

 

 

 

 

好評発売中です!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 

 

 

(令和3年3月21日 読売新聞朝刊)

 

 

 

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