深い思考 | はみだし講師ラテン系!

深い思考

ISによる二人目の邦人殺害が起きた日曜日の午後、
とある場所でとある老婦人二人のこんな会話が聞こえてきました。

「あの人○○されて、安倍さん、よかったよね~。」
「そうそう、ほんとにね~。」
「いい迷惑だよね。あんなところに勝手に行っちゃってさ~。」
「どこの誰か分からないような人に振り回されて、安倍さんもいい迷惑だよね~。」

愕然とすると同時に、怒りがこみ上げてきました。
心の中では、

「あなたたちの息子が同じ目に遭っても同じことが言えるのか?」

と叫んでいました。
が、冷静に、冷静にと、自分に言い聞かせました。

こういう考えをする人もいて、社会は成り立っているのだと、
そして、自分はどういう人間でありたいかを自分に問いかけました。

答えは簡単に出ました。

こんなことを考えるような人間には絶対にならないと。
そして、こんなことを言う人間が支持している人間は到底支持出来ないと。

戦後、経済的に復興を遂げた日本は、
やはり何かを忘れ、失ってしまったように思います。
経済という短絡的に答えの出るものを追い過ぎたのではないでしょうか。


そして、この日、もう一つのこと。

映画「アゲイン 28年目の甲子園」を観に行きました。
チケット売り場に並んでいると、
鼻歌が聞こえてきました。
チラッと見ると、老人を連れた女性。
鼻歌は老人のものでした。
それ程大きな音ではなかったのですが、
止むことなく、周りには聞こえていました。

上映10分前くらいになったので、
指定の席に座っていると、
先程の鼻歌が聞こえてきました。

なんとなくそんな予感がしていたのですが、
まさかの的中。こちらにいらっしゃったのですね・・・
そして、僕の斜め後方の席へ。

他の映画の予告などの最中もずっと鼻歌が聞こえていました。

「きっと、認知症なんだろうな。」

映画に集中できるかな・・・などと考えていると、

周りから、

「うるさいですよ!」

「静かにしろ!」

の声が。
正論です。
映画館では静かにするものですから。

でも、この場合はどうなんだろう?
と考えていると、

「すいません。認知症なんです。」
と連れの女性の声。

それから、映画が始まり、
しばらくすると、
その方たちの席の方で、話し声が聞こえ、
席を立つ様子。
お二人で退場していきました。

もはや、僕の心の中は映画どころではありませんでした。
この場合、どうすればよかったのか?
そんなことを考えながらの鑑賞になりました。

この映画を楽しみに来た人、
この時間しか映画を見ることが出来ない人もいるでしょう。
でも、この女性も認知症の家族を抱えての大変な生活、
そんな中での楽しみだったのかも知れません。
真実は分かりませんが、
全ての人間が同じように考えることや、
全ての人間が満足するような社会は存在しないということを
改めて実感しました。

僕は声を上げずに我慢しようと思っていましたが、
それが正しいとも言えません。

ただ、何事も深く考えて行動したいと、そう思いました。

休みの日に、こんなに考えさせられるなんて、
先日、節目となる年齢を超えましたが、
まだまだ未熟で、
知るべきことや、考えるべきことが多くあるということです。


映画は良かったです。
シンプルなストーリーですが、
それが心地よく感じられました。