愛の消えた街 | はみだし講師ラテン系!

愛の消えた街

昨夜、仕事を終えて、いつものように自転車に乗って、家路を急いでいると、道端に老人男性が座り込んでいるのが、目に入りました。
どうしたのかと、見てみると、靴が脱げていて、履こうとしていました。傍らには杖がありました。
大丈夫かなって、でも通り過ぎてしまいました。
その時、頭の中で尾崎の歌がグルグル流れてきました。

道端に倒れたように眠る人がいるよ♪
一度は目にするが♪
って。

どうしようって、考えて、戻りました。
どうやら、一人で立ち上がることが出来ず、誰か呼びましょうか?と尋ねると、独りだからと。
胸がきゅっと締め付けられました。
そして、二つの思いに引き裂かれそうでした。
なんで、すぐに声をかけなかったのか、という思いと、この先出会う人達全てに声をかけられるのか、という思いに…。

抱きかかえて、起こして、靴を履かせて、そして、その場から立ち去りました。

父親が死んでから、白髪の人や杖を持っている人がやたらと目につくようになりました。
そして、近い将来、自分自身もこうなるんだと思うと、何とも言えない気持ちになりました。

良いことをしたと思ってはいません。
悪いことをしたとも思えません。
ただ、悲しくなりました。
自分が出来ることをするしかないのです。
きっと、この先もこんな思いをし続けるのでしょう。

“愛の消えた街”by Yutaka Ozaki