私が選んだスペクトラム支援の名言(その6) | ティーチみやぎの「活動ブログ」|自閉症の子どもの自立支援

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宮城県仙台市を中心に、ティーチプログラムを活用して自閉症の子どもの自立支援を行っております。アメブロには、日々のティーチみやぎの日々の活動を記録して参ります。

「構造化はベースラインでスタートする」
 これは私たち宮城のTEACCHプログラムを学ぶ仲間の間で師匠と呼んでいる北海道のK氏の
言葉で、私たちはスペクトラムの子ども達の支援に当たる時の基本の柱にしている。
 構造化とは物事の意味を分かりやすく伝えること。話し言葉が中心の私たち(多数派)の生活の中で、スペクトラムの子ども達(少数派)は物事の意味が分からず困っている。どこで何をするのか?
次は何をするのか?いつ終わるのか? またちゃんとやりなさい!ちょっと待って!などのあいまいな言葉が分かりづらいし、相手の気持ちも分からない。こうした日常の5W1Hをスペクトラムの子どもに視覚的に分かりやすく伝えるのが構造化。
 例えばこの子は気になる物を隠すといい(物理的構造化)、写真が分かる容易だから写真で予定を伝えよう(スケジュール)、自分とはこの課題ができるから次はあの課題を与えよう(自立課題)、写真が分かるから着替えは写真の手順書を使おう(視覚的構造化)、文字が読めるから文字のリマインダーを使おう(コミュニケーション)等々。私たちはつい、この子はこの力があるのでこの構造化で支援しよう、と安易に構造化を子どもに当てはめてしまう。こうすると構造化による支援は失敗に終わってしまうことが多い。その理由は活動場所、時間、対応する人、活動内容、体調などが変わるから。そこでベースラインという考えが登場。ベースラインとは、その子が確実に使える構造化、つまり調子が悪い時でも、やりたくない時でも、対応する人が変わっても、いちばんのんびりしたい家庭でもできる、一番下のラインのこと。K氏は「このくらいできるかな、と思ったラインより少し下げ目で(少し手厚く)構造化をすること」と言っている。上の例では気になる物を隠した上に学習場所にはパーテッションをする、写真はひとまずおいて分かりやすい具体物を使ったスケジュールにする、自立課題はできるだけ楽にできるものを準備する、着替えは3段ボックス(具体物)を使い上から下に進む、リマインダーは文字を小さく絵を大きくしたカードを使う等々。こうすることによって、子ども達は提示された意味が分かり、人が変わっても落ち着いて活動することができる。これは英会話のコース選びのようなもの。多くの人は大学で習ったレベルの英語で上級クラスに入ると、ネイティブスピーカーの発音が聞き取れずコミュニケーションについていけなくなる。しかし中学校や高校レベルの英語を使う初級や中級に入ると、ずいぶんと分かりやすく、安心してコミュニケーションできる。以上のように失敗の苦手なスペクトラムの子どもたちにとって、「構造化はベースラインからスタートする」ことは彼らの達成感、自己効力感を養うのにとても大切なことです。