老いる ということは、耐える/堪えることなのかもしれない。

 

歳をとると、社会のしがらみ(解釈や若い頃からの付き合いや)から

一旦、離れることが可能になって、一つの区切り、そして再出発が

できる云々、、、ということも、確かにある。

その点では、

耐えることも減るだろう・・・我慢してきた”仕事上の付き合い”などが

なくなると思えば・・・。

 

でも、老いると、耐えることも増えてくると思う。

 

母が介護を必要とするようになって、いや、その前から、私自身、

20年前や10年前とさえ、身体の調子が違うなと意識するようになって

から、約30年前、介護されていたころの、祖母のことをよく思い出す。

 

たとえば、、、歩こうにも、ゆっくりでないと歩けない。

立ち上がるのも大変だ。

周囲からは、転ばないように、気をつけて・・・と声をかけてもらうが、

それでも、家族や周囲に迷惑をかけているんじゃないか、、、と

その時々の、申し訳なさ、ああ自由が利かないなあと気持ちの凹みが増えて

いく。

 

トイレに立つ、でも、漏らしてしまう。

トイレから戻ってくる、でも、ちゃんと始末できたか心配だ。

 

衣類が濡れたと思っても、若い頃なら差っと着替えられたその数分が、

いまでは、一つ一つ(そして転ばないように)時間がかかる。

そして何より、人間・・・やっぱり今までで来ていたこと、

大人として問題なくやれてきたことができない~いわゆる自分の下の世話が

できないことが恥ずかしい。

 

幼児なら漏らしても「ああ、しょうがないね、何か理由があったんだね」と

子供は叱られつつも、周囲はその生理現象を理解する。

でも、老人になって(老人と呼ばれる年になる前でも)身体の自由が利かなく

なったり、代謝が落ちたり、何より(最近はネットでいろんな対策が紹介

されてもいるけれど)筋肉の衰えなどでの尿漏れなど、、、知らず知らずの

うちに~幼児とは違う原因で~、漏らしてしまうことが増えてくる。

そして、恥ずかしい・・・と、思ってしまう。

そして、恥ずかしいけれど、そこは、耐えるのだ。

 

耐えて、、、耐えて、、、自分なりに対処したり、周囲の世話になったりする。

 

下の世話に限らない。

 

私自身、自覚する一つとしては、”文明の利器”の進歩に追い付かない。

 

スマホ??? なにそれ?とは言わないまでも、使いこなすなんて無理!

子供にあれこれ教えていたはずのこちら(大人)が、若者の使っている言葉も

道具も、わからず、要領も得ず、どんどん理解不能なことが増えてくる。

 

高齢者には難しい・・・、と言われて、そりゃそうだと思うけれど、

決していい気持ちはしないものだ。

難しいというのなら、こちらに分かるように、こちらに適したような状態も

作り出してくれ!といいたいけれど、世の中、30~40代の働き盛りや

将来を担う若者むけ~若者文化からの発信が中心になって、その年代を通り越した

世代への理解は後回しにされていく。

 

介護について~なんて論議されても、それは、福祉等の仕組みのことで、

老いていくものへの便宜を図る~気持ちを理解しようとする~というものとは

また別のことだ。

 

それでも、老いていくものは、耐えるのだ。

耐えるのが、、”大人”の、そして”先人”の役割でもあると(自覚してもしなくても)。

 

身体や言葉が不自由になって、

こんな状態を観られて恥ずかしい~

できなくて困ったな~

前はできたのに今はできない・・・これ、めんどうだな~

言いたい言葉が見つからない、浮かばない、そんなつもりじゃないのに、

わかってもらえない~、、

ああ、また(やさしい言葉と同時に、心のため息が聞こえる)迷惑かけてる~

ごめんね・・・。

歯がゆい思いをしても、もどかしさいっぱいでも、

それでも、耐えるのだ。

 

いろんなことを経験してきたからこそ、、、

耐えられる・・・。

 

老いることは、耐える・堪えるが増えていく。

 

空を見上げて・・・今日も、そんなことを考える・・・。

 

お母さん、

大丈夫だよ、気にしなくていいよ、、、そういって励ますだけれど、

それは、自分へ向けての言葉でもある。

いつか、そう遠くない日・・・私も母と同じように、30年前の祖母と

同じように、誰かの世話になり、自分で霜の世話ができなくなって、それでも

一人でトイレに行きたい(誰かの世話になるのは恥ずかしいし、傍に居られたら

それも切ないし)という気持ちが心と頭のどこかにのこったまま、

恥ずかしさや申し訳なさやこれまでとの立場の逆転の現状を受け入れる切なさや

諸々の気持ちを押し殺して過ごす日々がやってくる。

諸々の気持ちを・・・飲み込んで・・・耐える、生き絶えるまで息ていく・・・。

 

若いころは耐えられなかったことも、、、、

老いていく今なら、耐えられる~、そういうことなんだろうな。

 

「子供叱るな来た道だ、年寄り(老人)叱るな行く道だ・・・」

 

~ 了 ~

 

読んでくださってありがとうございます。

先日、手放せないもの?だったか、いつも持ち歩ているもの?だったか、

ブログ・ネタでそういうのがあって、正直書いていいですか?って

私は、近年、失禁ケアのナプキンが手放せない、、と書いたら、

思った以上に、このブログを読みに来てくださって”イイね”してくださった

方が多かったことに驚きました。

普段は、あまり訪問者もいない、静かな?ブログですので・・・。

 

身の回りの外国生活のことや日本にいる母のこと、韓ドラの独り言を

発散したりのブログですが、還暦を迎えた今年、自分のことも見直しております。

明日から三月ですね、これからもよろしくお願いいたします~。