サンタルチア・・・

日本では小学校か中学校の音楽の時間に習うナポリ民謡。

 

碧い海、青い空、水面にきらきら陽が揺らめく、浮かぶ小舟で沖へ漕ぎだし、

島々を巡りたい~そんな、憧れの夏の情景が歌われる曲・・・

それが、この国では、暗い寒く長い冬、太陽の光は行ってしまったけれど、

もうすぐ夜明けがやってくる、、光の聖ルシアが闇を灯りを持って暗い冬の

夜が明けるようにやってくる、そういった感じの意味に変わって歌われ

12月13日(本当は夜明けの歌なのだけど)各地の教会や学校や、いろんな

ところで、聖ルシアのコンサートが開かれたり、ルシア(Luchia)祭の

イベントが行われる。イベントといっても、パーティのようなものではなく

派手さもない。案外地味な伝統行事だ。~日本でいえば精霊流しのような?~

静かに、ロウソク(または電球の灯り)を持ち、歌を歌いながら、歩く。

 

私たちは、今年初めて、地元の教会のルシアコンサートに行ってみた。

徒歩圏内の教会では午後六時からとなっていたが、夫の帰宅を待ち、

もう一つの方(少し遠い)の教会へ、午後七時開演の方に行ってみた。

どちらにしても大きな教会ではないことは分かっていたけれど、すでに人で

いっぱい・空席はない。

幸い、入り口ドアの脇のスペースで他の人と一緒に立ち見の場所を確保。

~その後、何人かがやってきたが、担当者に断られていた。開始時刻を過ぎて

いたせいなのか?すでに(収容人数)制限の人数に達していたからなのか?

わからないが。

あと5分遅かったら、入れなかったかも・・・と内心、ホッとした。

 

白い衣装(ワンピースのような)に身を包んだ少女たちが列を作って教会の

ドア(重い鉄の黒い扉を開けてもらって)から(外から)入って来た。

灯りをともした蝋燭を手に、ルシアの歌を歌いながら・・・。

正面に揃い、数曲、歌った。一曲ごとに、詩の朗読のような何かを唱えながら、

左右の背の高い燭台に火を灯していった。

新たに一人、ルシアに扮した子が外のドアから中に入ってきた。

 

 

 

※イタリア語では、サンタ・ルチアで、日本語の歌詞も”ルチア”と発音して

歌いますが、当地の言葉では、サンタ・ルシアとなっています。

 

そして、また、全員でサンタルシアが歌われ、彼女たちは教会の外へ退場。

拍手。

と思ったら、大急ぎで彼女たちはまた、教会の中に戻ってきた(苦笑)。

何んといっても、外は極寒、気温はマイナス。

白い衣装の内側にヒートテックの下着を着ていたとしても震える寒さのはずだ。

 

コンサートは終わり、人々は席を立ち、、、私たちも早々(出入り口の傍に

立っていたので)外に出た。

 

歌った女の子たちの家族や友達が身に来ていただろうし、また教会の信者や

例年、ルシアを楽しみにしている地元の人が来ていたと思われる。

 

冬至はこのルシア祭の10日ほど後だ。

本当に、真っ暗な…一年で一番日が短くなり、寒さも増し、冬真っただ中に

向かう時期、それでも、もうすぐ夜明けがくる・・・(春とはいわないが)

もう少しで日の入り時間が逆行する・・・一分ずつ、遅くなる。

日の出はまだ少し遅くなる日が続くが、それももう少しの辛抱だ。

日の出、日の入りは、同時に、一番遅い、一番早い日でターンするわけでは

ないが、総合すると(今年は12月)22日が一番日が短い。

冬至だ。

それを過ぎれば(日の出は遅くても日の入りが遅くなり)日が延び始める。

 

昔の人は、、、知っていたのだろう。

ルシアの時期、一番、日の入りが早い。

日の出もまだまだ遅くなる。

でも、このルシアの数日後には日の入りは遅くなり始める、少しずつだけれど、

日が延び(灯りの量が増す)逆転していく・・・ということを。

 

冬の寒く暗い、長い夜を耐える・・・。

焦っても、何をどう急いでも、日が急に伸びることはない。

春を早く呼び寄せることはできない。

待つのだ。

耐えるのだ。

その時がやってきたら、、、春は来るのだから。

 

~ 了 ~ 

 

読んでくださってありがとうございます。

耐えることを知っている人々、、、というのでしょうか。

長い冬、冷たく寒い気候を耐えるせいでしょうか、

私の住んでいる地域では、公共交通機関の、橋の、線路架け替え工事のため、

一部、代行バス区間となっているのですが、これも、当初、三か月半で終わる

予定が、すでに半年。九月が11月になり、さらに、、、すでに12月も半ば。

先日、来春の3月末にならないと復旧しないのではないかとのニュース記事が

出ました。それでも、文句を言わず、皆、黙々と乗り換え、代行バスに乗って

います。しかたないんですけどね、、、。冬が終われば、春が来る・・・。

皆、文句を言っても仕方がない、抗議することが必ずしも得策ではない、

(事故が起きるよりはしっかり確認して運転再開してほしい~と私は思うけれど、

技術的な、それだけの理由ではなさそうで)と、じっと嵐が過ぎるのを待つ、

そんな気分なのかもしれないな、と思っている今日この頃です。