夫の仕事の下見のため、ブランチを兼ねて街の大きな食料品市場(屋内)に行って
きた。
さて、お腹が満たされた後、トイレの場所など確認し、市場内を一回りしていた時の
こと、、、ある肉屋のショーケースに、私の好きなパプリカやオリーブが混ぜ込まれ
たハム(太い大きなソーセージというべきか?いや、スライスしたまま食べられるの
で、私の頭の中では、ハムの一種)が目に入った。いろんなハム類やソーセージ類が
売っているこの国でも、この類はよく見るとは言えない。
ここぞ!とばかりに、(週明け、夫の弁当にも入れられるし)買うことにした。
すでに店の人に注文している人の他、私と2~3人、この店のショーケースの前に
行ったり来たりしている人がいた。店の人は、3人くらいいるので、すぐに順番が
来るだろうとじっと待つことにした。
そしたら、、、おもむろに、私を意識したらしい高齢のおばあちゃん・・・が、
私の背後を通って、左手のカウンターの端に歩いていった。
スーパーやデパート、どこであっても、郵便の受付や量り売りのお店、惣菜売り場の
カウンターのようなところには、順番のための札(数字が印刷された紙)を取る機械が
置かれていることが多い。~日本でも銀行などでよく見かけるのと同タイプ~
私は気づかなかったけど、あったのだ・・・。この順番取りスタンドが。。。
※この市場内の、別の肉屋でラム肉を買ったり、レバノン料理の店でサラダや味付
けされたチキンやマナイーシュ(ナンみたいな)を買う時やチョコレート屋の前で
は、札の機械なんてなかったから、うっかりしていた。
「ああ、あそこで順番の紙、とるんだ~」と夫に話しかけて、そこに行こうとして
いたら、そのおばあちゃんが、自分が取った紙を夫に渡そうと手を伸ばしてきた。
え?もらっていいの???
ほとんど同時に、カウンター越しに、お店の人が私たちに、「ご用命は?」と
話しかけてきた。
おばあちゃん、私たちに紙(5番と書いてあった))を渡して、そして、もう一枚、
取った。
「Thank you!!、ありがとう~」とおばあちゃんから紙を頂いた。
外国人の私たちが、紙をとらずに待っているのを見て、
順番の紙をわざわざとってくれたのね、、、ありがとう・・・。
(申し訳ない・・・この国に住んで、すでに2年になるのに・・・。
気づかずにいて、ごめんなさい)
有難く、私は、5番の紙を店の人に渡して、ハムを5cm分くらい、スライスして
ほしい旨、注文した。
注意)混んでいるようなとき、順番の紙がないと、いつまでたっても無視されるこ
とがあり、それは、もう社会のルールなので、同情されることは滅多にない。
だから、”自分の方が先なのに何人も先に応対されている~(怒)”という時は、
だいたい、、、理由があるのだ・(アジア人だからではなく)この紙を持っている
かどうかとか・・・。
紙の機械がないカウンターでは、お店の人が一応、客の様子を見ているので声を
掛けてくれるし、&客同士も、9割がた、わざと誰かを飛ばしたり、割り込みを
することはないので、その辺りは、スウェーデン人の公平・正直さを信じるしかない。
むしろ、割り込んだり、紙がないのに自分の番だというと、「そうじゃない」と
目撃者に反論されるので、割り込んだ方が恥ずかしい想いを(紙をもってなかった
り)することになる・・・。 見ないようで、実は、観ているのだ~。
さて、おばあちゃんも、すぐに別のお店の人に紙を渡して、何やら注文していた。
まだ、混み始める前の時間で、よかった・・・。
見た感じ、かなりの高齢者だ。
私の母よりも年上の気がするから、、、90歳前後だろうと思える。
この国は、杖を突きながら、手押し車を押しながら、ゆっくりゆっくり、そろり
そろりとでも高齢者が一人で、時に付き添いの人を伴いながら、歩いて買い物して
いる姿をよく見かける。年齢問わず、車椅子の人もよく見かける。
自立を促す国・・・できるだけ、動けるうちは、自分で動く(買い物とか)ことを
勧め、それを周囲がサポートする国・・・。
バスやトラムでも、お店でも、歩道を歩いている時も、森の散歩でも、実感する。
日本だったら、足腰のしっかりした、口のしっかり回る、矍鑠としたお年寄りが、
巷に出歩いて(または、店に出たり畑仕事をしたりして)いる姿が紹介されるけど、
私たちがここで見かける、杖を突いたゆっくり歩くお年寄りは、かくしゃくとした
という印象を受けるお年寄りばかりではない・・・。
言い方は悪いが、日本語だったら「よぼよぼ」と付けてしまいそうな、そんな感じの
高齢者が、そろりそろりと、ゆっくりゆっくり街に出て生活している。
それでも、この社会は、このゆっくりした高齢者を受け入れて・・・もちろん、
社会の一員だし、これまでの社会を作り上げてきたこの国の先輩だからね・・・いる。
若者や子供、働き盛り、育児盛りだけが、社会で大事なのではなく、お年寄りも
社会構成の一員なのだと、はっきりわかる。
バスやトラムで高齢者に席をゆずるのはもちろんだけど、レジなどで、前の人が
(高齢者が)手間取っていても、誰も嫌な顔をしないし、焦らせる様子もない。
この国の人は、全般として寡黙なこともあり、米国人やラテン系の人に比べて
とっつきにくいというか、不親切(パッと見、友好的ではないという意味)だと
言われることがある。
助けを求めれば、99%親切に応対してくれるが、そうでなければ、他人に対して、
余計な手を出さない・・・ゆえに。
けれど、今日のおばあちゃんのように、黙っていても親切な人は結構いる。
買い物を済ませ、果物売り場の方をグル~っと周って出口に向かっていた時、
あのおばあちゃんに会った~というか、通路で顔を合わせた。
もう一回、私は、「Thank you~Tack!」と会釈して通り過ぎた。
おばあちゃん、本当にありがとうございました。
今日1日、いや、これから毎日があなたにとって好い日でありますように~。。。
ホントに、本当にそう願わずにはいられない・・・。
~ 了 ~
先週、先々週と、二回、カフェで高齢者に話しかけられるという経験をしました。
この国の人は、滅多に、あちらから、他人(見ず知らずの外国人)に話しかける
なんてことはない…(100人に聴いたら、99人が同意すると思う)のに、
二回も!あちらから話しかけられました・・・(この理由は↑肉屋⇧とは、また別)。
その上、今日、親切な高齢者のお世話になりました・・・。
こんなことがあると、この国の人は冷たいって言われがちだけど、「そうとも
言い切れないよ」と、やはり思うのでありました。
読んでくださって、ありがとうございました~。