【魚津市】大正デモクラシーはここから始まった!? | 勝手に☆とやまの定住コンシェルジュのBlog

【魚津市】大正デモクラシーはここから始まった!?

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【あの米蔵】米騒動の生き証人、十二銀行の米蔵。

●米騒動って知ってますか?

小学校の教科書に載っていた記憶、ありますよね。

確かに習った当時は〝富山が発祥だ〟みたいなことを一緒にインプットされた記憶はありますが…。

1914年に始まった第一次世界大戦後に、日本は好景気になるのですが、物価は急上昇、庶民にとっては苦しい生活に。…そのうえ、米の買い占めや売り惜しみで、米の値段がすんごくあがってしまったんですね。

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【説明板にあった絵】板沢金次郎さん画。

米が高くて、家族に食わせてあげられない…こまった漁師のかあさんたちは、井戸端会議の末、米の積み出しをやめてもらおうとする。米の輸送船「伊吹丸」に積み出しをしていた十二銀行の米蔵前で抗議し、それによって米の搬出が中止になった、というのが、魚津の米騒動だそう。

この米騒動は有名になったけど、県内、全国でもこの時期には、米騒動がたくさんあったらしい。庶民の力を結集して自分たちの生活を守ること…これが民主主義運動へとつながっていったそうだ。

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【十二銀行社屋と米蔵】米騒動が起きた場所はいまでも保存されている。

以前、魚津にお邪魔したとき、びっくりしたのは、この米騒動の現場が、ちゃんと保存されていたということ。

地元の「魚津水産株式会社」さんが、十二銀行魚津支店の社屋とその横の米蔵を、今も維持・管理されているんですよ。…こりゃすごい!
十二銀行の社屋は、魚津水産さんの社屋として、現在も使われています。

…残念ながら、どちらも一般に公開はしていません。

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【目の前は海】ここから、伊吹丸に米を積むはずだったんだろう…。

米騒動というのは、結局、見方を変えれば、警察も動いた〝事件〟なわけで、長い長い歴史の中ではポジティブにもネガティブにも捉えることのできるものです。

魚津エリアでいえば、どちらにせよ、大切な文化財であることに間違いはないですが、そう思わない方もいらっしゃるのでしょう。〝不名誉〟だとか〝罪悪感〟を感じた時代もあったようなのです。

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【原則公開しておらず】うっかり…不法侵入になるので、退散。

そういうデリケートな感情もはらんでいるから、好意で保存している地元の会社さんに迷惑かけちゃいけないですわ。

…おとなしく、裏にまわって案内板を見ることにしました。

魚津市教育委員会が設置した詳しい説明があります。

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【米蔵の裏】魚津市教育委員会が設置した説明看板。

米騒動は〝事件〟だったけど、やはり、起こるべくして起こったものなんだと思う。

庶民が声を上げた歴史的な意味がある。…江戸時代の百姓一揆とはちがって、もっと大きなうねりとなって日本中に広がったわけですからね。

今は、庶民の私たちも、米を産地で選んで買うのは当たり前になってるし、米をあまり食べなくなったけど、こうやって贅沢に〝選べる〟ということも、先人たちの礎があってこそなんだ。

●米騒動がミュージカルに!

そんな感慨にふけりながら、まちを歩いていると見かけたポスター。

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【魚津ふるさとミュージカル】第8回は、米騒動。

「ふるさとミュージカル」…ということは、地元の人たちがつくって演じるんだよな…。

地元の人たちが、実在したこの「米騒動」をどんなふうに捉え、そして演じるのか?

…一瞬にしてすんごく興味が湧き、市役所の方にうかがったら、「是非!」ということで、チケットを入手。

そして、行ってきました。昨日。

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【魚津ふるさとミュージカル】チケットと当日パンフレット。

席の指定がなかったので、早めに会場に入り、できるだけ前に座ることにしました。

普通なら、正面のあまり前すぎない席がいいんでしょうが、今回の私のテーマは〝地元の方たちの息遣いを感じる〟ことだったので、あえて、かぶりつき。

パンフレットで予習。

…ハテナの街のコンサートの代表、北原さんのご挨拶が最初に載っていました。

このミュージカルを上演するまでに、歴史・文献研究、脚本・作曲、稽古・衣装・道具づくり、練習…3年かかってます。

…ああぁ。なんと思いのつまった…。

すでに胸がいっぱいになってきました。

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【もうすぐ開演】ドキドキ…。

そしてそして、びっくりしたのは、主役のバリトン、隆吉さんが、私の高校の先生だったこと。

…懐かしい…というか、すんごい迷惑かけた記憶があるので、逃げ出したくなってきました。

高校生の頃は、先生は敵だと思ってたので、ほんとひどい態度をとってましたからね…。

やべー。…へんにドキドキしてきました。

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【ミュージカル、米騒動】現代の設定



そして始まったミュージカル。

特に撮影禁止とか言われなかったけど、あんまり撮ってもいけないと思いつつ、こそこそ撮影。

最初は、現在の設定で、魚津のまちを歴史ガイドさんとともにみんながツアーしている様子。…そこで米騒動の話が出て、みんなが昔に思いをめぐらす…というところから始まりました。

みなさん、なかなかいい演技してますね。

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【ミュージカル、米騒動】時代は遡り、漁師の奥さんたちが米が高いと困っている…。

場面は変わり、米騒動の主役…漁師のかあさんたちの井戸端会議に。

…ここからは、実際に観ていただくとして、かあさんたち、みんなすごいいい味で、歌も踊りも楽しく見せていただきました。

かあさんたちの衣装、素朴なカラフルさで、とってもきれいでした♪ …あれ、草木染めかなんかじゃないかなぁ。

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【ミュージカル、米騒動】漁師のかあさんたちの不穏な動きに感づく、警察のみなさん(ずんだはん)。

これは、魚津警察署。

このへんの方言で「巡査さん」を「ずんだはん」と言うんですよね。

警察なんだけど、コミカルで面白かった♪ とくにオペラかぶれの方が。

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【あの米蔵】近所の子の靴かな。…干してあった。

昔は語られなかった、昔の人は語らないようにしてきた、この米騒動。辛い思いをしてきた方もいらっしゃったのでしょう。

でも、昔の記憶…とくに戦後の記憶は、どんどんなくなってしまいます。

その時代の人が何を考え、どう努力してきたかを考えることは、とっても大切なことだな、と思いましたね。改めて。

今だからこそ、ちゃんと知っておきたい、米騒動。

ミュージカルは、漁師の奥さんたちの力強い生き方と、地域みんなが助け合って生きる大切さが、よく描かれていました。…これ、ロングラン公演して欲しいなぁ。

7月31日と8月1日の2公演。今日、8月1日は14:00開演。当日チケットありますよ!(大人2,000円、小人1,000円)

【勝手に関連用語集&リンク】
ハテナの街のコンサート
今回のミュージカルを主催。地元の歴史や伝説をもとに、オリジナルのミュージカルをつくり、演じている団体。今回は準備に3年を要したという、渾身の作品でした。代表は北原俊郎さん。

ら・こんせーる・のくちゅーる →リンク:団体HP
今回のミュージカルの曲を全部演奏。オケピから微妙に見えるお姿を拝見。フランス語で夜の音楽家という意味の“La Concert Nocturne”が楽団の名前。1985年結成より、音楽好きが夜な夜な集まって練習に励んでいるという。なんだか楽しそうな社会人吹奏楽団。

新川文化ホール →リンク:施設HP
今回のミュージカルはここの大ホールで開催。愛称はミラージュホール。さすが蜃気楼のまち、魚津ならではのネーミング。立派な施設でした。「マドンナ」という喫茶店も気になる。

劇団フロンティア →リンク:団体HP
今回のミュージカルの中で、重要な役をされていたのは、ここの劇団の方でした。もちろん、普通の魚津市民も舞台に上がっていましたが、プロがいるから要所要所が締まる感じでした。…そーいえば、劇団フロンティアさんの舞台、親に連れられて何度か見に行った記憶が。