土井ホーム(福岡県北九州市)にやってくるのは、「虐待」と「発達障害」が重複し、ときには精神症状や逸脱行動を表出する深刻な課題をかかえた子どもたちである。
土井ホームでは24時間生活を共にする利点を生かし、こうした子どもたちに対して「暮らしの中の治療」を行っているが、その取り組みを3段階:<安全><相互性><自立>に整理している。
第1段階<安全>では、睡眠や食事が十分に取れなかった子どもに、安全感のある環境を保障することである。安全なくして回復はない。豊かな食事と安心して寝る場所の提供が子どもの回復を促すのである。こうした環境を整えることで、子どもの内面における回復力(レジリエンシー)や強靭でたくましい力(ストレングス)が自ずと発揮されてくる。
それと同時に、子どもの負因に注目した「リスク管理モデル」ではなく、こどもの「いいところさがし」などを通じた「長所基盤モデル」がより重視される。低下した自尊感情の向上が回復への第1歩であるからだ。