【今日のひとこと】●「自分自身」を認識できると大きく伸びる

 

 土井ホームにやってくる子どもたちは、虐待をはじめとする非常に複雑な環境で育っていますが、みなこの力が弱い傾向にあります。

 虐待は、暴力をともなわないものであったとしても、魂の殺人と言われます。子どもたちは、心身にたいへん大きな打撃を受ける。子どもは過酷な状況や苦痛から自分を守るために、心を自ら感情や感覚を閉ざしてしまったり、とき加害に転化して非行に走ったり、という経過をたどることがあります。虐待から逃れることができても、その過酷な経験は大きな心の傷になり、心の扉も身体の扉も開けないことがしばしばあります。

 なぜそうなるかというと、虐待を受けて育つと、いわゆる「メタ認知」の能力が育たなくなってしまうのです。メタ認知とは、「認知を認知する力」で、平たく言えば、自分の気持ちや行動を、客観的に見られる力です。

それができると「いま自分はこういう状況にある」「腹がたっている」「でもここで暴れても意味はないからガマンしておこう」という形で自分をモニターして、自分をコントロールすることができる。

 それができないと自分を見失い、制御することができなくなります。

 虐待は、このメタ認知能力を基礎から破壊してしまうと言われています。 

 また、なんらかの発達障害を持っている場合や、そうした傾向がある子どもは、もともとこの力が弱いと考えられています。

 本来の弱さのあるなしに限らず、子どもが十分な安心感をもって、安全な場所で育てることで、こうした力は少しずつ育っています。

 私たちのホームでは、自分の家庭でその力を得られなかった子どもたちに、新たな安心感と安全を与え直すことによって、少し遅くなったけれど、こうした力を育て、社会に送り出してあげようと考えているわけです。

 レジリエンスとかメタ認知とかいうと、聞き慣れない言葉だと思いますが、要するに「成長する力」「発達する力」です。人間は必ずこの力を持っています。まず、それが前提にある。だから、成長する権利、発達する権利を周囲が保障してやれば、必ず子どもは子どもらしく成長していきます。

 根底にある回復力を信じて、絶対的な安心感を与えれば、その力はどんどん強くなっていく。もともと潜在的に持っている力を引き出して、強くしてやることができる。

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