三念帖
国会終盤になり児童福祉法改正案が審議入りした。今回改正の注目の一つは里親ファミリーホームだ。長年多くの里子を養育してきた里親の強い要望から生まれた新しい制度。法案では「小規模居住型児童養育事業」と難しい名称になっているが、簡単に言うと地域の家庭で6人ほどの子供と養育者が一緒に暮らすものだ
しかし実際の養育はとても簡単に言えるものではない。北九州市で土井ホームを営む土井高徳さんは、非行や発達障害などで行動の激しい子どもたちをたくさん預かってきた。思春期の子どもを預かるには里親にも専門性が要求される。土井さんは子どもの問題行動の奥に潜む心の傷をじっくり読み解き、精神科医など多くの専門家と連携して治療的なケアをしている。
そんな土井さんが32年間に渡る養育体験を本にした。タイトルは「神様からの贈り物~里親土井ホームの子どもたち」(福村出版・1600円税別)。土井さん一家が子どもたちと紡いだ希望と回復の物語だ。「いつも玄関のドアを開け放ち、食堂には新たな子どもをいつでも迎え入れられるよう、椅子を一つ空けておこう。心も身体も傷ついた子どものために」(引用)
同著によれば、虐待する親の感情に振り回されてきた子どもには、安全な生活空間で一貫した応答を繰り返すことが大切なのだという。落ち着いた環境の中で子どもたちはみるみると、またはゆっくりと、自分のペースで元気になっていく。指導する事よりも気持ちを理解しようとすることが、心に響くメッセージとなって相手に伝わっていくのだろう。
「田に水張って紫陽花あかりかな」(山上樹実雄)