突然鳴り響いた警報に鈴置三佐は思わず怒鳴った。

「どうした、何があった」

「海上より多数の飛行物体接近」

レーダー手も負けずと怒鳴る。

司令室にいた全員が窓の外を見た。

確かに凄い数の円盤らしき物体がこちらへやって来る。


鈴置三佐は先頭の円盤が何かを吊り下げているのに気がついた。

「先頭の円盤を拡大投影しろ」

「先頭の円盤を拡大投影します」

司令室の大型モニターには円盤につるされた怪獣が大写しになった。

「先方より入電」

「何と言って来ている」

「約束の時間になった、戦闘を開始する」

「何だと!」

鈴置三佐は慌ててカレンダーを見た。

明日の日付に花丸のマークがついている。

「明日じゃないのか?確認してみろ」

「確認します」

通信士は何やら装置をいじっていたが泣きそうな顔をした。

「駄目です、先方が受け付けません」

「何てこった・・・」


ガンダムの足元にいた徹たちはのんびりしていた。

「何かあったんですかね?」

徹の問いかけに三人は首をひねった。

「今日は七十八式と我々の戦車との訓練しか予定に無かったはずだが・・・」

飯塚一曹は目を細めて海の方を見た。

「何だあれは?」

「えっ、何か見えます?」

徹も一緒に目を細める。


「鈴置三佐から入電」

古川一曹が叫んだ。

「怪獣との戦闘が今始まったそうです!」

「何だと!!」

その場にいた全員が叫んだ。

こうしてはいられない、ガンダムに乗り込まなければ。

徹が走り出すと全員同じ事を考えたらしく皆一斉にガンダムに向かって

走り出した。


徹は睡眠学習のおかげでガンダムの内部がよく分かる。

操縦席のドアを開けて中に入る。

続けて三人も中になだれこんで来た。

「ちょっと、何で皆来るんですか」

「考えてみろ、あそこに取り残されていては死ぬかもしれないじゃないか」

「それはそうですけど・・・狭いじゃないですか」

何せ定員1人のところに4人乗っているのだ、狭いはずだ。


「七十八式応答せよ」

ガンダムのスピーカーから通信士の叫ぶような叫び声が聞こえる。

どうやら、ずっと呼びかけていたらしい。

「こちらガンダム」

「おお、古谷君か乗り込めたのだな」

「はい、何とか・・・」

「気を付けろすぐ近くに怪獣が・・・」

聞き終わらないうちに衝撃を受けてガンダムがひっくり返った。

4人一斉に叫び声をあげる。


鈴置三佐は眉を曇らせた。

まさかな・・・

「ちょっと聞くが、今操縦席には何人乗っている?」

「4人のようです」

「何だと!」

鈴置三佐は戸田二尉を振り返った。

「戸田二尉至急電話だ」

「どこへですか」

「ギネスブックだ」

「分かりました」

流石に一夜を共にしただけはある。

戸田二尉は鈴置三佐の意図を読み取った。


「はい、分かりました」

電話を切った戸田二尉は力なく言った。

「駄目です、『ガンダムの操縦席に何人乗れるか』のギネス記録は

中国の8人が認定済みです」

「アレか・・・アレに負けたのか・・・」

鈴置三佐はがっくりとうなだれた。



つづく


8時になって慌てて司令室に行くと見た事の無い3人の自衛官がいた。

「遅れてすみません」

徹が頭を下げると鈴置三佐は黙ってうなずき徹を3人の自衛官に紹介した。

てっきり殴られると思った徹は力が抜けた。


「古川です」

「鈴木です」

「飯塚です」

三人同時に手を差し出され、まとめて握手しながら徹は鈴置三佐を振り返った。

「この方達は何です?」

「君と擬似戦闘をしてくれる陸自の方達だ、ちなみに全員一曹だ」

鈴置三佐はあらぬ方を見ていた。


どこを見ているんだ?

その視線の先を見て徹は納得した。

戸田二尉を見ていたのだ。

自衛官とはいえ人の子なのである。


「じゃあ早速78式に乗り込んで下さい」

3人の中で体の一番大きな飯塚一曹が装備を担いで先に立った。

「何で俺達がこんな奴のために・・・」

ブツブツつぶやいているのは古川と名乗った暗そうな奴だった。

徹はそれに気付かない振りをした。

何せ自衛官は全員銃を携帯しているのだ。

丸腰の徹では敵う訳が無い。


ん?全員?

徹は考えた。

って事は俺にも貰えないかな。

徹は早速その提案を鈴置三佐に出してみた。

「無理」

だろうな。

あっさり諦める徹であった。


ぞろぞろとガンダムの足元にやって来た一行は丸く並んだ。

「えーと、コアファイターはどこに?」

徹はキョロキョロした。

「そんな物あるわけない」

「まさか実際に空中で合体しようと思ったわけではないだろうな」

「今まで聞いた中で一番のジョークだ」

言いたい放題である。


徹は拗ねて体育座りをして「の」の字を書いた。

「どうせ俺なんか・・・」

「まあまあ・・・」

少年のような風貌の鈴木一曹が慰めようとした時、警報が鳴り響いた。


つづく


放置してたお話の続きを書くにあたり、以前書いた奴のページを

貼り付けるだけではなく、あらすじを載せた方がよいと言う意見を貰いました。


確かに俺だったらめんどくさくて、リンクから跳んで過去記事を全部

読まないだろうな(笑)


そんな訳で「誰がために戦う」のあらすじを書いてみます。

ちゃんと書けるかな・・・



普通のサラリーマンの古谷徹はある夜「N機関」と名乗る黒尽くめの

二人の男の訪問を受けた。

彼らは徹に地球の代表として異星人と戦えとのたまう。

もちろん徹は断わったが、自分が断わると代わりに女子高生が戦う事になると

テレビで発表される。

諦めた徹は異星人と戦う事にするが、相手は怪獣だった。

流石に無理だと言うと、こっちはロボットに乗って戦ってもいいと言う。


そのロボットとはお台場で作られたガンダムだった。

ガンダムに乗るべくホワイトベースに連れて来られた徹はやっぱり嫌だと

ダダをこねる。

そこで責任者の鈴置三左に殴られ、ますますいじけたが女性自衛官の

戸田二尉にかばわれ戸田二尉のために戦うと宣言する。


宿舎に案内された徹は戸田二尉を襲う。

しかし軽くいなされ、しかも戸田二尉は真実の愛に目覚め鈴置三佐の

下へ走った。


戸田二尉に逃げられた徹は諦めてマニュアルを読み出した。

そこに戸田二尉の部下の白石海士長が現れる。

徹は早速白石海士長を襲うが投げ飛ばされて気絶してしまう。


その後相手がダークサイトに落ちた自分の父親だと知る。

フォースを習得する為、徹は惑星ダゴバのヨーダの下へ旅立った。




あれ?

徹が目を覚ますと既に朝になっていた。

ベッドから起き上がろうとすると何かに頭を引っ張られた。

「いてー、何だこれ」

徹の頭とベッドサイドのテーブルの上に乗ってる何かの機械がケーブルで

繋がれていた。

「まさかこれって・・・」

徹が電極を外そうとすると白石海士長が現れた。

「待って下さい、動かないで」

徹はゆっくりと頭をおろした。

白石海士長は慣れた手つきで電極を外していく。


「ねえ、これって・・・」

「聞きたい事は分かります、でも聞かない方がいいですよ」

「って、事は俺の考えてる通りなんだな」

白石海士長はわずかにうなずいた。

「そうか・・・自衛隊も本気なんだな」

「何を言っているのですか、自衛隊はいつでも本気です」

「そうか・・・そうだよな、俺も協力して戦わないとな」

徹は電極が繋いであったところをさすった。

「そうですよ、その意気です」

白石海士長は洗脳装置・・・あっ書いちゃった・・・を片付け始めた。

徹はその後ろ姿を見てムラムラしだした。


「白石さん、すきじゃー」

徹はいきなり飛び掛った。

白石海士長は銃を抜いて徹の目の前に突きつけた。

「待った、白石さん冷静に話し合おう」

「私はこれ以上ないぐらい冷静です」

白石海士長は銃の安全装置をはずした。


徹は慌てた。

怪獣と戦って死ぬのならともかくセクハラで自衛隊員に撃たれて

死ぬなんて恥知らずもいいとこだ。

とにかく何か話しかけて気をそらさなければ。

「何で銃なんか持ってるの?」

「今は有事ですから全員携帯しています」

白石海士長は引き金に指をかけた。

「すいません、もうしません」

徹は土下座して謝った。


「分かればいいです」

白石海士長は冷たく言い放つと部屋から出て行った。

徹はその後ろ姿、正確にはお尻を凝視した。

突然白石海士長が振り向いた。

徹は慌てて目をそらした。

「今日の訓練は8時からです、遅れないように」

そう言うなり踵を返し去って行った。


再びお尻を凝視しながら徹は決意した。

「いつかあのお尻を俺の物にしてやる」

何をされてもまったくぶれない徹だった。



つづく