ダグラムのゲームを作り始めたのは、まだTV放映中のことでした。
当時、デュアルマガジンの付録ゲームやタカラのミニチュア付ゲームなどがありましたが、いずれも戦術級であり、自分としてはストーリー全体を再現するゲームが欲しかったので、戦略級(政略級)の方向でデザインを開始しました。
当時はツクダのアニメゲームが出始めており、ロボットアニメといえば戦術級や戦闘級といった感がありましたので、個々の機体や戦闘を再現しつつ全体をプレイするといったものを目指しました。今考えれば全く無茶なことなのですが、当時は個々のメカが精密に表現されていればいるほど、レベルの高いゲームだと思い込んでいました。
ツクダのホワイトボードやブランクカウンターを大量に買って来てゲームを作ってみましたが、もともと無謀なコンセプトであったし、知識やテクニックの無い素人でもあったので、出来上がったゲームは大変お粗末なシロモノでした。
それでダグラムのゲームは、もっとデザインの知識とテクニックが身に付いてから再挑戦しようと心に誓って封印しましたが、結局あれから20数年も経ってしまいました。
さて、本作のコンセプトですが、第一はストーリー全体を表現するキャンペーンゲームであることにあります。
ガンダムやダンバインは戦争のお話しですが、ダグラムは単純な戦争アニメではありません。
ダグラムでは戦闘の部分と政略の部分とが、かなりはっきり分かれています。それぞれが別々に進行して、大きなイベントなどで他方に影響を与える、といった形でストーリーが進みます。
戦闘と政略を別々に表現するためには、カードを使用しなければならないと、かなり早い時期から考えていました。そして、前述のように戦闘と政略が影響を与えながらも別々に進んでいくのを再現するのには、カードドリブンではなく別のシステムが必要であると考えました。
それで本作では、戦闘や政略の結果が、他者の発動条件になるような仕組みにしました。両者はゲームとしては別々に進行していきますが、なにかしらの条件を満たすと、あるカードが使用できるようになったり、新しいユニットが使えるようになったりします。
戦闘に関してですが、ストーリーの前半と後半で戦闘の様子が大きく異なります。人民政府樹立前は、あくまでもデロイア州内の反乱分子によるゲリラ戦で、政府樹立後は軍隊対軍隊の戦争となります。
内紛と戦争を同一システムで表現することが、システム構築の大きな命題となりましたが、捕捉チェックとスタック制限で表現できたのではないかと思います。
戦闘解決システムは、ドレイクシステムに近いものとなっていますが、命中=1ヒットではなく命中したサイの目がヒット数となります。
このシステムは、一年戦争のときに考案したもので、少数のユニットで大きなヒット数を生むのに適しているのですが、一年戦争では採用しませんでした。一年戦争では、ドレイクの時より1ユニットあたりのヒット数が多く必要であったのですが、このシステムは個々のユニットの性能差を細かく表現するのには不向きであったため、機体種類が多い一年戦争では不採用としたのです。しかし、ダグラムでは機体の種類が少なく、パイロットキャラクターがほとんどおらずユニット数を多くする必要が無かったため、このシステムを採用したのです。
また本作のキモとしてランダムチットがあります。
プレイシートの各ボックスに置かれたチットは、そのイベントが徐々に進行していることが、相手プレイヤーにも分かるようにするために、数値を見せずに枚数だけ分かるようにしました。
マップ上の潜伏チットは、ゲリラになっていないデロイア人の不穏分子や非武装の地下組織などを現しており、連邦側にも「あの辺が怪しいぞ」といった情報を与えるために、マップ上に置くことにしました。
このランダムチットはこのゲームの命なので、紛失などで枚数が変わってしまった時のために、各数値の枚数を挙げておきます。
1P=21枚
2P=23枚
3P=17枚
4P=10枚
5P=8枚
総数79枚・平均2.5P
ゲームの勝利条件としては、作中でサマリン博士がドガ市攻略後に、①北極ポート制圧 ②首都カーディナル制圧 ③全国支配の3通りの方法があると述べています。そこで本作でもこの3パターンのいずれでも勝利できるようにしてあります。
イベントとしては、史実の部分以外にもifを入れようとしたのですが、ダグラムのストーリー自体が入り組んでいるため、創作イベントを入れることがかなり難しかったので、作中でおこったことが起こらなかった場合とか、起こった順番が違っていた場合とかで、ゲーム展開にバリエーションがつくようにしました。なお、解放軍の海峡横断作戦は史実では発生していませんが、フォン・シュタインが危惧していたので、可能性は低くなかったものと考えて、決行できるようにしてあります。
アクションカードのイベントについては、条件などが複雑に絡んでいるため、熟知しているプレイヤーと慣れていないプレイヤーとでは、勝敗に大きく影響を与えます。そこで、お助けアイテムとしてイベントフローチャートを添付しました。本来、こういうものを見ながらプレイするのはどうかと思いましたが、知らない人があまりにも不利なので、あえて付けることにしました。
プレイ時間についてですが、慣れないうちはアクションカードの山札のカード選出の際に、どのカードを選ぶかを考えるのに多くの時間が必要となります。
しかし、やるべき事はさほど多くなく、作業に要する時間はそれほど多くはないので、慣れているプレイヤー同士なら、キャンペーンでも6~7時間ぐらいで終わると思います。
このゲームは、戦闘部分は比較的アッサリと味付けして、カードのイベント部分に力を入れていますので、ダグラムのストーリーを知らない人には、ちっとも面白くないと思います。しかし、30年前にテレビに噛り付いて熱狂したファンには、十分に楽しんで頂けるものと思います。