ポル・ロジェ ブリュット・レゼルヴ

8℃スタート
・外観
美しい黄金色。麦わら色の黄金色。
輝きがあり泡は非常に細かく豊富。
均整を感じさせる持続性。

・香り
グラスに注ぐと柑橘とチョーク質のミネラルが先行する。
輪郭は硬質で直線的。
この温度帯は香りの情報量を取りに行くというより、
骨格を確認するための温度。
具体的な香りは青りんごや梨のフレッシュな白果実香。
あと軽い花のニュアンス。
10℃に達すると洋梨、和梨、白桃、
ペイストリー生地のようなふくよかさが
輪郭の内側を埋めていく。
あとスイカズラや白ジャスミンの軽やかな花の香り。
微かなバニラやクロワッサンのトースト香が加わる。
シャルドネの直線性とムニエの丸みが拮抗し、
「均等三分割」という設計思想が最も可視化される温度帯。
12℃まで来るとノワール由来の焼き菓子の甘く香ばしい香り、
赤い果実の名残、蜂蜜、それにナッツ香や
トーストの香ばしさが顕著に表れる。
温度が上がるごとに三品種が順に主張していく構成。
単一品種が垂直に深化するのではなく、
三者の合議によって立体化していく香り。
この温度帯で感じるより熟した果実のコンポート感や
アニスのようなスパイス感、
それに温州みかんのような柑橘感のある甘い香りが好きだ。
残り香のようなドライフラワーのニュアンス。
・アタック
口に含んだ第一印象はきわめて均整。
果実の過剰な甘さも、酸の痩せた刺々しさもない。
最初の一口目からメゾンの哲学が体現される。
泡は細かく展開が速いが騒がしくはない。
活発な酸味と果実のフレッシュさが一気に広がる。
バランスが良くてすぐに調和を感じさせる。
明確なエネルギー感があるが
面取りがされたような感じ。
・味わい
構造的特徴として、酸がまず骨格を提示する。
その内側を甘みが輪郭を崩さない程度に縁取る。
「支える」というより「際立たせない範囲で存在する」甘み。
具体的な果実味は、表層に青りんごとレモンの酸、
その奥に白桃・洋梨の質感、
さらに奥にビスケットと蜂蜜の層。
この三層は溶け合って一本の線になるのではなく、
位相をずらしながら重なる和音的な構成をとる。
余韻
中庸でありながら輪郭を保ったまま消えていく。
塩気を帯びたパン皮のニュアンスが最後に残り、
甘さの記憶を静かに上書きする。
長さそのものより「後味の秩序」
最後まで三品種のバランスが崩れないまま
滞りなく退場していく姿がたまらなく愛おしい。
ドラピエ グラン・サンドレ2012

7℃スタート
・外観
金色がベースにありながらオレンジ寄りの暖かみが差した色調。
蜂蜜というよりは、日を透かした琥珀糖に近い透明感のある輝き。
深みと輝きのある黄金色。
きめ細やかで極めてエレガントな気泡が、
穏やかに美しく立ち上る。

・香り
グラスに注いだ直後はフリンティーなスモーキーさ。
硬質なミネラル感が先頭に立つ。
続いてより引き締まった柑橘系、
青いライムゼストやレモンの皮
(表面ではなくアルベドの方)
8℃になると青りんごと白い花系のフローラルさ。
タイトで緊張感のある若々しい佇まい。
10℃に達するとザクロや
レッドカラントのがくの部分に近い渋みを伴った赤さが
スモーキーな骨格の間から立ち上がり始める。
同時に焼きたてのクロワッサンや
ローストしたヘーゼルナッツの香ばしさが顔を出す。
白桃や梨のような爽やかな果実香と
蜂蜜の甘い香りも感じる。
清潔感と凝縮感を同時に感じる温度帯。
10℃という温度は明確なシャンパンとの対話感がある。
12℃に到達するとカシスやブラックチェリーの凝縮感や、
乾いたタイムやクローブのようなスパイス感が
燻香が渾然一体となりノワールの支配感が一気に増す。
灰のニュアンスは焦げというより
「燠火」に近い温かみを帯び、
シャルドネがもたらす柑橘のトーンが
その輪郭を締める役割を果たしている。
同時に並走して展開される果実香は
マンゴーや黄桃のような黄色い果実香。
トーストのような香ばしさと
熟成感を伴う蜂蜜の香り。
清楚で品があり同時に深みのある確かな脈動感。
・アタック
口に含んだ第一印象は「静かな圧」
派手な泡の主張ではなく、
塩気を帯びたミネラルが舌の中央にまず着地し、
その直後に乾いた骨格が全体を引き締める。
果実味の華やかさより先に構造が来る。
これがドラピエ グラン・サンドレ2012のアタックの特徴。
・味わい
シャルドネ由来の酸が背骨となり、
ピノ・ノワールの重心を支える構図。
低ドザージュのため甘みに逃げ場がなく、
酸・塩味・ミネラルの三点が終始緊張関係を保ったまま中盤へと続く。
単調な直線ではなく、
口内で階層が積み上がっていくような構造。
中盤に現れる果実はダークチェリー、ブラックカラント、
やや熟した柿を思わせる甘みの奥行き。
酸に埋もれない果実の存在感がある。
同時にブラッドオレンジや柚子皮のような柑橘的な閃きが、
ダークチェリーやブラックカラントの重さに
快活なアクセントとなっているので
実際より軽快に感じる。
鮎でグラン・サンドレ2012の構造が明確に理解できた。
同時にどうして気が付くと抜栓機会が増えるのか?
その理由も理解した。
・余韻
余韻は長く、塩気とスモーキーなミネラルが最後まで消えずに残る。
フルーツの甘やかさは早い段階で退き、
代わりにスパイスと灰のニュアンスが喉の奥に長く滞留する。
ドザージュの低さゆえに、
余韻の終盤まで乾いた緊張感が持続し、
「食事と共にある」ことを前提とした設計であることが
最後まで伝わってくる。
清潔感、華やかさ、何よりも揺るがない構造の安心感。
日常の1日1日を大切に積み上げて子育てをした
うちの嫁のようなシャンパン。
一言でいうなら
「熾火」
アペリティフ向けの華やかさではなく、
構造重視のガストロノミー型スタイル。
ピノ・ノワール優勢のブレンドでありながら、
シャルドネが酸の背骨として機能し、
ブラン・ド・ノワール的な重心と
ブラン・ド・ブラン的な緊張感の中間に位置する。
低ドザージュ・長期熟成による「灰と燠火」の複雑性が核であり、
単体で楽しむより料理と対峙させることで
その構造がもっとも生きるタイプ。
そりゃあ私の使い方だと使い倒すわなw
合わせた料理
北海道産 モッツァレラチーズ
高知県産 てっぺんトマト
茨城県産 バジル
※ポル・ロジェ ブリュット・レゼルブでペアリング
ポル・ロジェが持つ「青りんごやレモンの直線的な酸」
「チョーク質のミネラル」と素晴らしい相性を見せる。
トマトの持つ純粋な酸味と、
モッツァレラチーズのフレッシュなミルク感が、
ポル・ロジェの表層にあるシャープな骨格を際立たせ、
口内を爽やかに目覚めさせる。
スターターとして外せない一皿。
ノルウェー産 サーモン
茨城県産 コヤリイカン
千葉県産 はまぐり
茨城県産 マイクロリーフ
ゆで卵
温野菜色々
※ポル・ロジェ ブリュット・レゼルブでペアリング
爽やかで優しい甘みの洋梨や白桃、
それにふくよかなペイストリー感によく馴染む。
ゆで卵の卵黄のまろやかなコクとサーモンの滑らかな脂が
ムニエの持つ「輪郭の内側を埋める丸み」と綺麗に同調する。
イカの甘み、とくにゲソの部分の明確な旨味は
ポル・ロジェの果実味をより立体的に引きす。
はまぐりはゲソの旨味のピクセルをより細かくした感じ。
根本の情報密度が一桁あがる。
この疎と密がより立体的に感じさせる要因になる。
長野県産 グリーンアスパラ
スペイン産 ハモンテルエル
イタリア産 パルメザンチーズ
目玉焼き
※ポル・ロジェ ブリュット・レゼルブでペアリング
いわゆるビスマルク風目玉焼き。
バターでじっくりソテーされたアスパラガスの
少し焼き目をつけた香ばしさが、
ポル・ロジェの熟成感やトースト香とダイレクトに共鳴する。
そこに「片目玉焼き」の半熟の黄身をソースのように絡めることで、
「温州みかんのような柑橘感のある甘い香り」
やアニスのスパイス感と溶け合い、余韻に残る
「塩気を帯びたパン皮のニュアンス」へと美しく着地する。
見た目とは違って秩序ある後味。
最後の一口をグラン・サンドレ2012で合わせた。
ポル・ロジェの時は
「シャンパンのふくよかさと卵のコクを"同調"させる」ペアリング。
一方のドラピエ グラン・サンドレ2012は
「料理の油分とコクを、グラン・サンドレの強固な構造が
"立体的に引き千切り、昇華させる"」
ダイナミックな関係になる。
幸せの門へと料理の手を引いて
階段を駆け上がる関係になる。
グラン・サンドレのやや熟した柿を思わせる甘みの奥行きや
カシスのニュアンス。
これがアスパラガスが持つ独特の
「青い旨味」と出会うことで、
料理単体では絶対に題しえない
「エキゾチックな果実味の輪郭」を浮き上がらせる。
この変化は心を強烈に揺さぶる。
愛知県産 小鮎
新潟県産 西瓜
※ドラピエ グラン・サンドレ2012でペアリング
真夏の楽しみの料理。
鮎特有の川魚のワタのほろ苦さと、
香ばしい塩焼きの皮目。
これがグラン・サンドレ2012が持つスモーキーな骨格、
灰や熾火のニュアンス、乾いたタイムのようなスパイス感と完璧に同調する。
スイカの持つ青みを含んだピュアな甘みと瑞々しさは、
青りんごや青いライムゼスト、白桃のトーンと
グラデーションのように重なる。
タイトで骨格のしっかりしたグラン・サンドレに、
スイカの自然な水分と甘みが最高のクッションとなって、
口の中で信じられないほど綺麗な球体となって溶ける。
これは芸術的な完璧な美。
名古屋コーチン
長野県産 ズッキーニ
茨城県産 ルッコラ
極限まで塩を抑えて焼き上げた。
グラン・サンドレの強力なミネラルに
名古屋コーチンの旨味が蹂躙されて唖然となった。
追加で岩塩と黒コショウをもらって
ごく少量さらに置いてつけて食べてみた。
爆ぜた
グラン・サンドレ2012に合わせると
まるでスタングレネードが爆ぜるように
旨味が閃光と衝撃に変化したように口の中で爆ぜた。
ルッコラにレモンを絞って振り掛け、
それを塩を追加した名古屋コーチンと一緒にいただく。
そしてグラン・サンドレ2012を一口飲む。
塩単体の閃光はなく、落ち着いた静かな圧へと変貌した。
ここまで変わるものかとゾクゾクした。
グラン・サンドレのしっかりした酸味と鶏肉の脂の旨味、
そしてレモンの酸味が三位一体になってバランスがとれる。
ブラッドオレンジや柚子皮のような柑橘的な煌めきが、
明確なアクセントとなって軽快な口当たりになる。
何口食べても、何杯飲んでみても、
決して飽きさせない無限のループが完成する。
これって血液数値に破壊的な影響を与える
いわゆる「あかんやつ」w
今回は飲み終わって帰宅して感動が消えないうちに必死にタイプしてる最中、
自分がこのレビューを書く前提条件がどんどん崩壊して辛かった。
ソムリエ語を使いたくなかったんですよ。シャルドネがー
ムニエのー、ピノ・ノワールがー、ドサージュが
そういった語句を使わずに
自分の体験や経験の中の語句に置き換えたかった。
だけどグラン・サンドレの破壊力がそれを許してくれなかった。
正確にはグラン・サンドレを知った気になていたのに
違う顔を見せられて混乱したというのが正しいかな。
今回の構図はまさに、
私が知っていたグラン・サンドレ2012が、
三河鮎の前で私の知らない本当の顔を見せた
だから、恋愛関係ではないのに感情の機序がNTRそのものなのよ。
「あれ……そんな顔、私には一度も見せなかったよね?」
「鮎と出会った途端、何その芳香と構造……」
「私が今まで理解していたつもりだった時間は何だったの?」
はい、ここで目がぐるぐるになって、口が半開きのポンコツ差分へ移行ですw
なので表現としては、
「三河鮎にグラン・サンドレ2012の知らない顔を引き出され、
純愛過激派の紲星あかりみたいに脳を破壊された」
なんと酷い体験www
来週は焼肉でドラピエ クラレヴィア




