シャルル・エドシック ブリュット・ビンテージ2012


7〜8℃スタート
・外観
キラキラと輝く淡い黄金色。
泡立ちは規則正しく、力強く、かつ繊細。
光の加減で抜けるような透明感が際立つ。


・香りの特徴
抜栓直後は香り立ちが控えめで、
グラスに注いでもやや閉じた印象。
微かなスモーキーさとトースト、
土のニュアンスが綺麗にまとまるタイトな表情。
数分置いて8℃を超えると角が取れ、滑らかさが現れる。
八角やリコリスを思わせる甘くスパイシーなニュアンス、
オレンジの花のフローラルが顔を覗かせる。
10℃を超えると一気に開花。
桃、アプリコット、マルメロといった甘い果実香が滑らかに広がり、
ブルーベリーのベリー感、蜂蜜、剥きたてのアーモンドが加わって濃厚に。
香りのレイヤーが増え、複雑さを増していく。
12℃を超えるとエネルギーが爆発。
野太い果実香とクリームブリュレが波動砲のように放出されるが、
フリンティーなアクセントが締めて決して野放図にならない。
ここまでの香りの設計は、メゾンの哲学の凄みを感じさせる。

・アタック
口に含んだ瞬間の第一印象は、クリーミーさと豊満さ。
泡は極めて繊細で柔らかく、舌を優しく包み込む。
透明感のあるしっかりとしたミネラル感が基調となり、
タイトで小気味良い緊張感と爽快なエレガントさを併せ持つ。

・味わい
第一印象はドライで軽快、小気味よさが勝るが、
二口目から濃厚で深みのある果実味が広がる。
黄桃、パイナップル、アプリコット、砂糖煮したマルメロ、
ベリー系の赤い果肉果実などなど。
熟して甘みの乗った果実味が、
オレンジやレモンの柑橘類の爽やかさに支えられ、
生き生きと踊るように展開していく。
オレンジピールやレモンピールのニュアンスが、
濃厚さの中に美しいフレッシュ感を与える。
あと蜂蜜、バニラ、焼きたてのトーストの香ばしさが
味わいに立体感を加える。
こう書くと甘いシャンパンっぽく感じられそうだが、
実は全体は完全にドライ。
典型的な「スレンダー巨乳美女系」シャンパン。
華奢に見えて実は豊満で、芯が強く、飲むほどに魅了される。

・余韻
余韻はべらぼうに長い。
クリーミーさとスモーキーさがいつまでも持続しながら、
ミネラルと熟した果実の余韻が口中をクリーンに優しく包み込む。
煙のようなニュアンスが非常に特徴的で、印象に深く残る。
微かな塩味が最後に残るのも良い。
このスモーキーさと酸の活力が美しく融合し、
心地よく、かつ力強く締めくくる。
まさにアーティスティックな余韻。

 

 

 

ティエノ ブリュット ヴィンテージ 2012


7℃スタート
・外観
光沢のある淡い黄金色。
若干、銀色っぽいニュアンスの輝きもある。
ポル・ロジェ ブリュット・レゼルヴの
透明度と照度を少し上げた感じ。
きめ細かく活動的な持続性のある泡立ち。
外観は都会的に洗練されたエレガントさで美しい色合い。
個人的な見解だけど「ザ・シャンパン」といった佇まい。

・香り
グラスに注いだ直後はフレッシュでシャープな
柑橘系果実の香りがストレートに立ち上がる。
爽やかなグレープフルーツとレモンの香りが主役。
少し時間が経つと、繊細で清潔感のある
白い花のフローラルが加わる。
液温が10℃に達すると、
白桃・洋梨・ライチといった豊かな白い果実香が広がり、
複雑味が増す。
シャルル・エドシック ブリュット・ヴィンテージ2012が
「レイヤーを重ねる」ような複雑化だったのに対し、
このティエノは
「グランドラインの上に構造物が立体的に建築されていく」
ような三次元的な立体化を感じる。
その違いを上手く言語化できないのがもどかしい。
スワリングしてやって12℃まで上がるとさらに変化。
もぎたての熟した白桃、深みのある甘い蜂蜜、
バターたっぷりの焼き立てクロワッサン。
香ばしさは二系統に分かれる。
前半はクロワッサンのリッチさ、
後半は森永ムーンライトのような
甘く柔らかいビスケットの芳香。
(ナッツの乾いた香ばしさを伴う)
ここまで液温が上がると
明らかにふくよかさが増し、
香りのボリュームが立体的に膨らむ。

・アタック
口に含んだ瞬間の第一印象は、
活き活きとした酸味の心地よいフレッシュさ。
フレッシュな透明感がありながら
しっかりとした肉付きとふくよかさを感じる。
クリーミーな泡感とシャープな酸味のバランスが秀逸で、
滑らかでしっとりとした口当たり。
貴族的な格調高さではなく、
都会的に洗練されたエレガンス。
トラディショナルを極めた上で、
現代的に再構築された美しさ。
90年代のBarneys New Yorkの
「Select, Don't Settle」
という精神そのものだと思う。
(余談:ティエノはまさにBASCOのような存在。
 高品質な生地と縫製=高品質な葡萄と確かな醸造力。
 伝統的なデザインを現代の日常にフィットさせる
 世界観構築力が共通している)

・味わい
グレープフルーツやレモンの爽やかな柑橘酸味と、
りんご、白桃それに洋梨の瑞々しい甘み。
さらに汁気たっぷりのマンゴーのような
黄色系果実の深みが加わる。
透明感と濃厚感のバランスが絶妙で、
クロワッサンや栗を思わせる香ばしさが良いアクセント。
イメージは「しっかりと教育された良家のお嬢様」
上品でありながら、芯の強さと豊かさを感じさせる。

・余韻
余韻は長く、繊細なナッツの風味と
深みのある蜂蜜が優しく続く。
柔和で豊かな味わいが持続し、
フィニッシュは透明感と爽快感に溢れたエレガントさ。
しっかりとした存在感が、
最後に塩味を帯びた心地よい汁気となって余韻を締めくくる。

 

 

合わせた料理

北海道産 帆立

千葉県産 浅利

茨城県産 コヤリイカ

長崎県産 西海トマト

千葉県産 マイクロリーフ

野菜いろいろ

宮崎県産 キャビア

シャルル・エドシック ブリュット・ビンテージ2012とペアリング。

一番エレガントだったのは帆立と菜花とそら豆とキャビアの組み合わせ。

スパイシーさが良く回って唸るほど芸術性が高いアコード。

これと正反対のペアリングはゆで卵とゲソと浅利の組み合わせ。

黄桃感が全面に出てくる分かり易くて自然と笑顔がこぼれるペアリング。

ニース風シーフードサラダとシャンパンのペアリングは

シャンパンがすすむし何度食べても飽きない。

そこにキャビアを添えるとビックリするぐらいシャンパンがすすむw

この一皿でほぼシャルル・エドシック ブリュット・ビンテージ2012を

飲んでしまうという大失態。

完全にペースを間違えたw

 

 

千葉県産 蛤

千葉県産 法蓮草

 

蛤のエスカルゴバター焼き。

1粒はシャルル・エドシックでもう1粒はティエノでペアリングした。

シャルル・エドシックとのペアリングは土のニュアンスを土台に

スパイシーさとクレームブリュレのような甘さが回る。

甘いだけではなくドライで引き締まったミネラル感もしっかりある。

エレガントかつアーティスティックなペアリング。

一方のティエノは穏やかな黄桃感や焼き栗のような甘みが盛り上がる。

レイヤードなシャルル・エドシックに対して

ティエノはGL(グランド・ライン)上に

構造体が出来上がるような三次元的なペアリングになる。

世界観、方向性が全く違って

メゾンの設計ドクトリンの違いがよくわかる飲み比べ。

 

 

山口県産 白皮甘鯛

静岡県産 桜海老

和歌山県産グリンピース

 

Excellent!

高画素数のデジカメの画像のような情報密度が激高なペアリング。

透明度、照度が高くフレッシュでクリアーなんだけど

濃厚さと粘度の高い旨味がいつまでも口の中に残る。

芸術性ではなく圧倒的な技量、技術力に圧倒されるようなペアリング。

咀嚼して飲み込むまでのプロセスが幸せに満ちたマリアージュ。

 

 

近江牛もも肉

千葉県産 新玉ねぎ

千葉県産 ルッコラ

 

先週食べてティエノでもう一度食べたいと思った一品。

前回食べた時より三次元的な旨味の盛り上がりが顕著。

ティエノの万能性をまざまざと感じる一皿。

 


来週は焼肉。

ルイ・ロデレール コレクション245とコレクション246の飲み比べ。