グリーンジョージの噂

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いずれにしても映画の事業は自動車会社や紡績会社の経営とは根本的に違うものだということを、もう少し資本家が理解しなければいけない。
 使われてる人間のくせに高給をむさぼりすぎるとか、威張りすぎるとかいうような偏見をまず打破してしまわなければこの仕事はやってはいけない。早い話がポスターにいくら株主の名前を並べたって客は一人も来はしないのだから。そして現在のところではまだ興行成績に関しては何らの寄与もなし得ない人たちのほうがもうけすぎているのだという事情を十分理解しなければいけない。
 引抜き問題にからんで思わぬ脱線をしてしまった。
 次に四社協定が長続きをした理由の一つとして、ここ一、二年映画界にあまり大きな変動がなかったことも数えられる。
 それといま一つの重大な理由は違約金十万円という数字の威力である。
 つまり、A社を自由退社することによって協定に触れたものの出演映画がB社系統の館に上映せられた場合、B社はA社に対して金十万円を支払う罰則が設けられているのである。
 したがってA社を自由退社することによって協定に触れたものは、他の三社系統の一切のプロダクションにおいて働くことができないばかりか、他の三社系統の館に配給される一切の映画に出演することができないわけである。
 かくのごとくに四社協定というものは、その動機においても性質においても、つまり一から十まで会社側の御都合主義による勘定ずくの話であって、この協定のどこの部分を拡大鏡にかけてみても精神的な結合などは毫も発見されないのである。