2023年7月に読んだ本
(個人的な評価 A最高に良い Bかなり良い C普通に良い Dいまいち Eダメ)
『「その他の外国文学」の翻訳者』
(白水社編集部〈編〉/白水社/2022年)
翻訳者たちの情熱と苦労が語られたエピソード集。
詩の脚韻を日本語にすることはあきらめたと残念がるベンガル語の翻訳者や、方言の翻訳に苦労するというノルウェー語の翻訳者の話などを読むと、外国文学は原文で読まないと伝わってこないものがあるんだろうなあと思ったりする。
イディッシュ語が専門なのに苦手なヘブライ語を翻訳している人、偶然が重なってバスク語の翻訳者になった人など、翻訳者それぞれの多様な生き方が印象に残った。(C)
『岬』
(中上健次/文春文庫/1978年)
評論家の斎藤美奈子さんが朝日新聞に月一回くらいのペースで連載している「旅する文学」という記事の「和歌山編」のときに中上健次が紹介されていて、それをきっかけに読んだ本。
斎藤美奈子さんによれば、中上を読まずに死ぬのは人生の損失、とのこと。
何がきっかけでどういう本に巡り合うかわからないが、今回は良い本に出会えた。(C)
『歴史のダイヤグラム〈2号車〉 鉄路に刻まれた、この国のドラマ』
(原武史/朝日新書/2023年)
朝日新聞土曜別刷り「be」の連載を新書化したもの。第2弾。
連載時にすべてを読んでいるはずだが、内容をほとんど忘れていることがわかってショックだった。
第五章の、『「はつかり」で夢の国へ』のタイトルで書かれている一文は、切ないような、郷愁感のある余韻を残す。(C)
以上、2023年7月は3冊。