政府は、歳入の範囲内で歳出していては(均衡財政)、世の中のお金は増えません。これは、ごく当たり前のことであって、国家は歳入以上に歳出するからこそ、その分だけ世の中のお金は増えるのです。

歳入(税収)と歳出が同額であれば、お金は増えようがありません。なぜなら、国民から税金として徴収したお金を、歳出によって、そっくりそのまま国民に戻しているだけだからです。

政府は、税収以上に歳出する場合、国債を発行します。その国債を銀行が信用創造によって買います。この信用創造の働きで、新たにお金が世の中に生み出されるのです。だから、政府は意図的に国債を発行して(すなわち財政赤字を出すことによって)世の中のお金の量を増やさなければならないのです。


それでは、世の中のお金の量は、なぜふえなければならないのか?

それは、絶えず科学、技術が進歩するので、国全体の生産力は常に向上するからです。生産力が向上すれば、生産されるモノ、サービスの量は当然増えます。

その増えたモノ、サービスを購入するためには、人々がそれだけお金を持っていなければなりません。したがって、国全体の生産力の向上と比例して、世の中のお金の量(正確には人々の所得)は増えなければならないのです。

もし、お金の量の増え方が少なければ、この国は確実にデフレになります。なぜなら、生産力(供給)に対して、お金の量(需要)が少ないからです。

日本が25年間も頑固なデフレに悩まされ続けている理由は、まさにこれなのです。

ものすごく当たり前の事ですが、生産力が絶えず向上するのなら、それに合わせてお金の量を増やさなければならないのです。


誰が増やすのか?もちろん政府しかありません。個人が勝手にお金を増やすことはできません。それは貨幣の偽造になり、犯罪になります。

国の中で、唯一お金を増やす力を持っているのは、政府しかありません。そして、その政府は、お札を自分で印刷する事はしません。すなわち、政府紙幣の発行は行っていません。政府紙幣を発行しないのであれば、あとは政府が借金する以外に、お金を増やす方法は無いのです。

国債を発行して、銀行からお金を借りると、それだけ世の中のお金が増えるからです。これ以外にお金を増やす方法は無いのです。そういう世の中の仕組みに、つくってしまったのだから仕方がありません(明治時代に)。それを、遠い昔のことなので、みんな忘れてしまっているのです。

政治家、官僚、学者、評論家は、よく調べてみることです。

次に、我々がしっかり見極めなければならない事は、生産能力がものすごい勢いで向上していることです。

今やスマートフォンは、国民の8割から9割は所持しているでしょう。このスマホの持つ機能と言えば、パソコン、電話、カメラ、時計、ラジオ、音楽配信機能、計算機、新聞、本、地図、メモ帳、電車バスの時刻表、翻訳機能、コンパス、鏡、その他と言う多様さです。

我々は、このようなスマホを使っていて「便利が良くなった」と感心するだけではいけません。スマホが上に挙げたような多種類の機能を持つと言う事は、とりもなおさず、それらの製品をもはや作る必要がなくなったと言う事でもあるのです。

電話、カメラ、時計、パソコンなどなど、これらを製造していた企業は、その生産数量を大幅に減らさなければならないからです。なぜなら、1つの製品が多種類の製品を兼ね備えているからです。


さて、「1つの製品を作れば、他の製品を作らなくても良い」これは、言い換えれば、ものすごい生産能力の向上をしたことになるのです。

また、紙の本が電子書籍へと変わりつつある点について述べます。

まず、製紙会社が今までより生産を減らすでしょう。インクの製造会社も同様で、印刷会社、製本会社、本を輸送する会社も同様で、街の書店も当然減ります。

要するに生産する必要はなくなるのです。言い換えれば、ものすごい生産能力の向上です。

書籍に限っただけでもこの有様です。そして、当のスマホは、中国など海外で組み立てられているのです。日本ではほとんど組み立てられていません。


製造業だけではありません。サービス業のような業種においても、機械やコンピューターが導入され、生産能力を著しく向上させています。


以上述べてきた現象は、何を意味するのか?生産能力が向上すると、生産を減らすことになり、それは、とりもなおさず、人々の働く場、仕事を奪ってしまうことになるのです。

そうすると、当然人間の労働の価値が低下するので、賃金は下がり続けるのです。したがって、日本国民の所得の合計額は減り、日本全体の需要は減るのです。

供給>需要の構図が出来上がり、デフレから抜け出せないのです。

政府のやるべき仕事は、決まりきっています。減税と財政出動によって、供給=需要の構図に変えれば良いのです。緊縮財政は間違いで、積極財政が正しいのです。何の難しいこともありません。