科学、技術が進歩発展すると、国全体の生産能力は向上し、生産量も増大します。

そうすると、当然、その増大した生産量を流通、分配するために、国全体の貨幣量も増加しなければなりません。


日銀が公表する統計「マネーストックM2」(日本に出回る貨幣の総量)によれば、1967年には約30兆円であった貨幣量が、2025年には、実に約1230兆円にもなっています。

驚いたことに、58年間で1200兆円も増加しているのですが、それもそのはずで、この間の科学、技術の進歩には凄まじいものがあり、著しく生産能力が向上したからです。


もし、生産量が増えても、貨幣量が増えなければ、この国の経済は大停滞を起こし、激しいデフレに陥り、経済成長は実現できなかったでしょう。

したがって、貨幣量が1200兆円も増加したのは、全く正しいことだったのですが、それでは、一体どのようにして貨幣量は増えたのでしょうか?


「それは簡単だ。日銀がお札(日本銀行券)を発行したからだ」と多くの人々は考えるでしょうが、これは大間違いです。

なぜなら、日銀はお札を直接世の中に送り込むことができないからです。

日銀は民間銀行にお金を送り込むことができるだけで、(公開市場操作の買いオペレーション)、後は民間銀行の貸し出しに任せるしかないのです。


これは、日本が「管理通貨制度」を採用しているからです。

「管理通貨制度」とは、日銀が民間銀行にしかお金を発行することができないと言う通貨発行制度なのです。この大事なことを多くの人々は知りません。


そもそも、日銀の職員が、企業や個人にお金を配るところを見た人がいるでしょうか?いるはずがないではないですか。

そうであるので、企業や個人が銀行からお金を借りなければ、お金は世の中に出ていきません。

誰も借りなければ、お金は銀行に溜まったままで、世の中のお金(貨幣量)は全然増えません。


さて、58年間で1200兆円もの膨大な額の貨幣量が増えたのです。

とても企業や個人が銀行からお金を借りても、これほどの額には簡単に到達できるものではありません。

しかし、貨幣量が増えなければ、拡大する生産量に追いつくことができないので、国の経済は低迷するしかありません。


それをそれをまま放っておいては、政治の責任は果たせません。

政府は景気を活性化するために、国債を発行して財源を作り、財政出動を行います。そうすると、当然景気が持ち直します。


それは、国債を発行すると、その大半を銀行が買うので、銀行にたまったお金が一旦政府に移り、それから政府は財政出動することによって、そのお金は世の中に出ていくからです。

こうして、貨幣量が増えることによって、生産能力の向上に貨幣量が追いつき、景気が上向くのです。


すなわち、「政府の国債発行と財政出動」は「政府による通貨の発行」なのです。

管理通貨制度下にあっては、この方法によるしか、通貨発行の方法は無いのです。

だから政府の通貨発行には、財政赤字が伴うのです。

しかし、この財政赤字は、本当の赤字ではありません。「管理通貨制度」であるがために生じる、見かけ上の借金でしかないのです。


本来、通貨は政府が直接発行すれば良いのに、日銀に通貨発行を任せるから、おかしなことになるのです。


「管理通貨制度」は、かなり古い制度で、1930年代に金本位制を離脱してできたものです。

1930年代と言えば、現在と比べ、はるかに生産力が劣る時代であったので、貨幣量が増えにくい通貨発行制度でも特に問題は起きなかったのです。


しかし、現代はこの時代とは天地雲泥の差があるほど、凄まじい生産力の向上があります。

何しろ、第4次産業革命時代(AI、DX、量子コンピューターなど)と言われるほどです。(ちなみに第3次は、情報通信(IT)革命)


100年近くも昔の通貨発行制度を、そのまま現代に使っていては、とてもうまくいくはずがありません。

時代に合う発行制度に変える必要があります。

政府がお金を発行すると、それは政府の借金になるような発行制度を、いつまでも使っていてはイケマセン。