日本国において、通貨を発行する権限を持っているのは、唯一政府だけです。それ以外の誰もお金を発行することはできません。


ところで、日銀が公表する統計である「マネーストックM2」(世の中に出回るお金の総量)は、1967年は約30兆円であったのが、2023年の「マネーストックM2」はなんと、約1230兆円です。


驚いたことに、56年間で1200兆円もお金が増えているのです。

この1200兆円は、一体誰が増やしたのでしょうか?

もちろん、政府以外には考えられません。

ところが、不思議なことに、政府(国)には、1千兆円以上の借金(財政赤字)があると言うのです。

なぜ、お金を発行する権限を持つ政府に、こんな巨額の借金があるのでしょう?


世の中に、これほどの不可解な矛盾があるでしょうか?


そこで我々は、日本はどんな通貨発行制度を採用しているのか、よく考えてみる必要があります。

その制度は、「管理通貨制度」と言うものです。


この「管理通貨制度」が、そもそもよほど奇妙な発行制度なのです。

紙幣は、政府が発行するのではなく、中央銀行である日本銀行が発行することになっているのです。


日銀は、民間銀行から手形や債券などの金融資産を買い取り、その代金として、紙幣(日本銀行券)を民間銀行に支払うのです。

日銀の仕事はこれで終わりです。


すなわち、日銀は世の中に直接お金を送り込むのではなく、民間銀行にしか送り込まないのです。

これが「管理通貨制度」と言う通貨発行制度なのです。とても奇妙な発行制度ではないでしょうか?


後は、誰かが銀行からお金を借りなければ、日銀券は世の中に出て行きません。

もし、誰も銀行からお金を借りなければ、日銀券は銀行に溜まったままになります。


企業や家計がお金を借りますが、しかしそれだけでは、1200兆円ものマネーストックは生まれません。

どうしても、世の中に出回るお金の量が不足してしまい、したがって、経済が不活発になり、不況になります。


そこで、世の中のお金の量の不足を補うために、民間に代わって、政府が銀行から借金をする必要があるのです。


なぜなら、政府は紙幣を発行しないので、(紙幣の発行は、日銀に任せてしまっている)これ以外にマネーストックを増やす方法がないのです。


政府が国債を発行すると、それを銀行が買います。そうすると、これは政府が銀行からお金を借りたことになります。(銀行の信用創造によって借りる)


そして、このお金を公共事業や社会保障費として支出するのです。

これで、世の中のお金(マネーストック)が増えるのです。

この方法しか、政府がマネーストックを増やすことはできないのです。なぜなら、管理通貨制度だからです。


したがって、「政府による国債発行」は、「政府による通貨の発行」と同等なのであり、国債は借金では無いのです。


ここで反論が起きるでしょう。

「借金ではないと言う事は、国債は返済しなくて良いと言うことか!」と。

そうです、返済しなくて良いのです。

国債には利子がつくが、これを返済して現金にしてしまうと、利子がつきません。

したがって、国債を持っている方が得なのです。


銀行や保険会社等は、預かったお金を運用して利益を出さなければなりません。

その場合、国債ほど安全な運用方法はありません。何しろ国が発行する債券なのですから、これほど信用できるものはありません。


もし、現金に変える必要があれば、「国債市場」で売ればいいのです。簡単に現金に変えられます。


現在、1千兆円以上の国債発行残高があります。これだけ巨額の国債が、安全有利な金融資産として、世の中に流通しているのです。

そして、何の問題も起きていません。

これを全て返済してしまうと、大事な金融資産がなくなってしまい、金融界は大混乱をきたします。


現代のように、科学、技術が絶えず進歩し、生産力が向上する社会にあっては、その生産力に見合うだけの貨幣量及び金融資産が増加しなければ、経済成長はあり得ません。

生産力(供給)と需要とのバランスが取れなくなるからです。