これまでも絆や助け合い、親切の大切さなどは説かれ続けてきた。しかし、あまりに当然のことで、自分さえよければ良い、自分の身の回りさえ綺麗であれば良い、と思うのが大半の人であったろう。先生はおっしゃった。
「大半の人は悲劇に遭遇し、痛い目を見てからでないと目覚めないものです。しかし、想像力によって、その悲劇は防げたのです。自分が見たくないからといって目をつぶり、目を背けていても、問題は深刻になっていくばかりです。病気と同じです。早期に発見し、治療できれば、たとえ被害が発生しても軽微なものに留めることが出来るのです。そして、都合の悪いことでも、嫌な記憶を呼び起こすことでも、教訓とすべき事柄は常に人々に伝え続けなければなりません。言いたくないと、当事者が口をつぐんでしまえば、後世の子孫はまた同じ失敗を繰り返すでしょう。残念ながら、人類の歴史はその種の失敗で満ち溢れています。だからこそ、これからの私たちの行動こそが重要なのです」