連続アメブロ演義「まとひ」 自分で悩みを作るのはもうやめましょう | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

曹玉麗がため息をついて、こう言った。

「人間は自分でしなくてもよい苦労や悩みを作る天才です。人を殺すための武器や本当は必要でない物や制度をつくり、これに多くのお金を費やしています。一方で、今日の食事、明日の生活さえ困難で、安心して寝る場所も無い人が増え続けています。

あのお金を人々の生活のために使えば、今ある問題がどれほど解決するでしょうか。なぜ、これほど簡単なことに誰も気が付かないのでしょうか」

先生はこうおっしゃられた。

「他力本願で大きな事を言うのはたいへん簡単です。いつの時代も、進歩や改革というものは少数の人々の手によって始められます。それが多くの人々の心に及んで参ります。ただ、多くの人々は問題への意識を忘れやすいのです。せっかく崇高なものを目指したのに、生活や人間関係の色々なものが、目先の事に視野を狭めていってしまいます。

それはそうです。今日食べるものが無い人に、理想の社会の話をしても聴いてくれることはまれです。だからこそ、言葉と実践はどちらも大事なのです。人類はみな兄弟姉妹なのです。寝る場所も住む所も無く、食べる物もない、あるいは尊厳も剥ぎ取られ、奴隷のように働かされ、使い捨てられる。こんなことは互いに兄弟姉妹である人類の誰であっても、許されないのです。だからこそ、気付いた人が行動しなければなりません。知識には責任が伴います。まず、自分のできることから始めて参りましょう。

わたしたちが、わたしたち自身に眠っている善なるものを受け入れる準備を完了すれば、世界は一大家族となれるのですが・・・・・・」