連続アメブロ演義「まとひ」 教師とは | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

子粛が言った。

「教師は『気付かせ屋』であると同時に『気付き屋』であるべきだ。子供たちが、生き方に感動し、感謝し、見習いたい、その後に続きたいと思う存在であることが必要だ。

自分の責任において、それを世界に示すことが出来る人こそが、教壇に立つべきだ。こういう人と出会うことで、学ぶことがどんなに大切なのか、子供たちはわかるようになる。『学びたい』という衝動を呼び起こす力になるんだ。

自分自身がどう感じるか、どう考えるか、どう行動するかを学ぶ。真摯に学ぶと、学んだことにより確信を持つことが出来る。それではじめて、世界のために役立つことが出来る。そうは思わないか」

「子粛、お前は『べき』が好きだな」

私はそう言った。

「そうだな。わたしは自分の短所が嫌いなんだ。だから、理想の人物になろうとしている。それゆえ、かもしれない」

「とにかく、人格の欠陥者を教育者の立場につけてはならない、私はそういう例を多分に知っている。ああいう輩が、どれだけ子供の心を傷つけるか・・・・・・」

ふと、気配に気付くと、先生がこちらを見て、にこりとされていた。

「子粛、行こう」

子粛と私は駆け出して、先生のもとへ向かったのだった。