連続アメブロ演義「まとひ」 名誉について | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

蔡璠は戦場に行った。戦功によって身を立てるのだと常々語っていたから、私に驚きはなかった。
何年かして、蔡璠の母上から手紙が届いた。彼は既に病で亡くなっていた。

「『真の名誉とは地上的感情を超えたところにある。人を殺したり、財物を得たりする事が名誉でなく、
世の誤りを正すことこそ、真の名誉である事が分かるようになります』
先生がかつて教えて下さった事が、今分かった」

彼は死ぬ間際、そう言っていたという。

あれからもう五十年も経つ。