海に面した街がいくつも水に沈んだ。そして、大勢の者が死んだ。その報を先生に伝えたが、
鄧歆がもっと詳しい内容を伝えた。
「人間の知識と経験が増えるに従って、災厄を避けたり、防止したり、
被害を少なくしたりすることができるようになります。一方、人間の怠慢によって、災厄の被害が一層深刻に
なることもあります」
先生がおっしゃられた。
馬累が続けた。
「実際、そういう場合が多いのです」
「そうだ」
鄧歆が膝をぴしゃりと叩いた。
先生は荷物をまとめ、
「知識は大事にしまっておくのではなく、使ってこそ意味があります。さあ、参りましょう」
私達は被災した街に旅立ち、三月を過ごした。