連続アメブロ演義「まとひ」 知識の利用 | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

海に面した街がいくつも水に沈んだ。そして、大勢の者が死んだ。その報を先生に伝えたが、
鄧歆がもっと詳しい内容を伝えた。

「人間の知識と経験が増えるに従って、災厄を避けたり、防止したり、
被害を少なくしたりすることができるようになります。一方、人間の怠慢によって、災厄の被害が一層深刻に
なることもあります」

先生がおっしゃられた。
馬累が続けた。

「実際、そういう場合が多いのです」

「そうだ」

鄧歆が膝をぴしゃりと叩いた。
先生は荷物をまとめ、

「知識は大事にしまっておくのではなく、使ってこそ意味があります。さあ、参りましょう」

私達は被災した街に旅立ち、三月を過ごした。