連続アメブロ演義「まとひ」 罪人 | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

ある法家が先生に意見を求めた。新しい法を作るのだと言う。
先生はおっしゃった。

「罪を考えますと、行為より動機が重要に思います。自己の生命を人は守るべきです。しかし、動物的本能に
身をゆだね、自己保存にしか目を向けない者は残虐なことを致すでしょう。また、未発達の人間は未発達な魂と
同調して、その影響を受け、徒党を組むでしょう」

「未発達とは何でありましょうや」

「一般に悪と呼ばれているものです。しかし、私は道義性あるいは道徳性が未発達であると考えています」

「では、彼らも進歩を願っていると」

「そうです。そういった者を教え導くことは大切なことです」

法家は燃えさかる囲炉裏の火を見つめながら、先生の言葉を何度か呟いていた。