連続アメブロ演義「まとひ」 貧なる仕事 | 連続アメブロ演義 まとひ

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剣龍之介のいま、つたえたい話

一人の女性が先生を訪ねた。勤め先のことで悩んでいた。女性は悩みを吐き出すと、すっきりとした様子で
帰って行った。徐樊が先生に尋ねた。

「仕事があるだけで幸せではありませんか」

先生は徐樊を見て、こうおっしゃった。

「働く意欲の起こらない職場、働いても必要なものさえ手に入らない仕事は存在します。まさに試練です。
あらゆる面で試されているのです。知性と理性を働かせて、その苦しみから救われる道を見出すのです」

「職を選り好みしているのが問題ではありませんか」

「生活に必要な食べ物が充分でも、貧困は存在すると思うのです。九人の子供がよそ行きの靴や服を持っているのに、一人の子供にはそれが無い。このような時、心配してあげなさい。形でなく、その人の実態こそ大事です」