元封が信心深い老婆の話をしていた。老婆は若いとき、たいへんな過ちを犯してしまい、
それで祈っているのだという。
「先生、私が老婆に出来ることはありますでしょうか。」
元封が先生に尋ねた。
「祈ったからといって、過ちが消える事はありません。ただし、行いを変えることで過ちを
償うことが出来ます。」
元封は少し考えてから、また尋ねた。
「先生、私は具体的にどうすればよいのか、考え付きません。」
「最も良い罪の償いとは、過去に犯した悪にまさって、出来る限りの善を行うことです。」
元封の性質を熟知していた先生は、このように答えた。