「…フン、ここまでだな」
ハカイダーが背を向ける。
「ハカイダー!? 貴様…」
「この世界にも腕に覚えがある連中がいるらしい。だが、俺はまだここで死ぬわけにはいかん。
俺のこの脳髄に刻み込まれている筈の記憶…取り戻さねばならんものがあるからな」
「裏切るつもりか!?」
「裏切る、だと? 俺は俺の記憶を取り戻すため…この世界について識るために
貴様を利用していたに過ぎん。俺は誰にも属さない」
「ハカイダアアアアアアアアアアアアッ!!」
メメーンは両手から鋭い爪を繰り出し、ハカイダーに襲いかかった。
「馬鹿が…!」
素早く光線銃を抜き、左手の爪を瞬時に撃ち抜く。
「あっ!?」
「はああッ!!」
爪を破壊され、一瞬余所見をしたメメーンの腹に突き刺さる、ハカイダーの蹴り。
急所のひとつ「水月」を狙っての攻撃。
「ぐばはぁッ!?」
目を見開き、たまらず口から吐瀉物を撒き散らす。
「ゲエェーッ!! ゲボッ…あ…あがが…!!」
「お前も俺を利用していたのには違いあるまい? 後は自分で何とかするがいい」
そう言い残し、ハカイダーはゆっくりと歩いて行く。
「何だ、仲間割れか? そうと分かればここは一気に…!」
ハカイダーの背中を強襲しようとする杏子を、ほむらが遮った。
「な!? 何で止めんだよ、イレギュラー!?」
「彼はまだ余力を残している。深追いしては駄目」