「こ…これは! 行けるかも知れませぬぞ、親父殿!」
えん魔の頭の上のシャポーじいが言う。
「何じゃと!?」
「ホントか、シャポーじい!?」
えん魔が聞き返した。
「うむ。最初の一撃目…あれは威力こそ凄まじいが、拳打…つまりは物理的攻撃。
それでは霊的な力で作られたあの結界は破れぬ。
じゃが、ご覧なさい。此度の攻撃にはマミ殿の力が…即ち魔力を宿した一撃」
「なるほど、それならば結界にも多少の影響を与えられると…!」
「あの殴るしか能の無い単細胞めがそこまで考えておったとは思えんが。迸っとるのう。若い若い」
「結果は重畳…と言った所か。この機に乗じるぞ、小牟」
「お? 影が薄くて慌てて挽回しようって腹じゃな、零児?」
「黙れ、駄狐。そんな事は問題じゃない」
零児は静かに九字を切る。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・前! 行ォォォォッ!!」
立ち塞がる邪なるものを祓う術。すると、黒い霧が若干ながら揺らぎを見せ始めた。
「おおっ! 効いてるぞ!?」
マミの魔力を宿したカズマのシェルブリット。そして零児の九字。
「要するに、霊気や魔力、妖気をぶつけて結界に干渉させようってこったな。
そんじゃ、俺も一丁やったるか! 妖能力! 火炎爆弾ッ!!」
「髪の毛針ッ!」
えん魔と鬼太郎も続く。
「魔力、か」
杏子は腰を落とし、槍の切っ先に魔力を集中。