以前にほむらと交戦したメメーンはその能力の秘密の一端を握っていた。
突然現れては消える瞬間移動にも似た技。
その全容までは把握し切れていないが技を発動させるための暇を与えなければ…そう考えた。
そして、その予想は的を射ていた。
技を発動させるには事前に何らかのアクションが必要なのだと。
「――ッ！！」
距離を空けなければ。ほむらはギリギリまでハカイダーの攻撃を引きつけ、寸前で避わした。
空中に閃光弾を浮かばせて。
「むっ！？」
振り抜けたハカイダーの拳が閃光弾を殴りつけた事で炸裂。眩い光がハカイダーの目を眩ませた。
それを見越して、ほむらはハカイダーの股座の間に飛び込み背後に回る。
同時に側転からのフルオートハンドガンの連射でハカイダーを狙撃した。
「…効いていない？」
しかし、ハカイダーの堅牢なる装甲には有効なダメージを与えられていない様子だった。
「小賢しい真似を」
ゆっくりと、悠然と振り返る。しかし、距離は稼げた。
「通らないなら、通るまで撃ち込む」
暁美ほむらは、魔法少女である。しかし、その魔力を攻撃用に転嫁する事が出来ない。
それ故に、攻撃手段は専ら関係各所から秘密裏に奪取した銃火器を用いて戦う。
即ち、ほむらの戦闘力はイコール、その銃火器の単純な威力性能に左右される事になる。
(これ以上ここで「力」を浪費するわけには…)