安倍晴明は自分の腹にめり込んだままのアルカイザーの腕を掴み、
「うおおっ!?」
片腕でアルカイザーの体を軽々と持ち上げ、
「ふんッ!!」
そのまま力任せに地面に叩きつけた。
「がはっ!?」
アスファルトがその衝撃で砕け、ひび割れる。
「チッ! この男、本物の化け物か…!?」
流石の庵も、晴明の底知れなさに驚きを隠せない。
「かぁあああああああああああああああーッ!!」
「ぐあっ!」
安倍晴明の霊圧で3人が吹き飛ばされる。
「くっ…なんて強さなんだ…」
「ふう、貴方達の強さはその程度なのですか? 私を失望させないで頂きたい」
その時、背後から人の声が聞こえた。
「まだだ!まだ終わっちゃいねえぜ! 俺が相手だ! 安倍晴明!」
安倍晴明と京達との戦いに乱入した謎の男。
――その頃、渋谷に到着した零児達は神楽の行方を追い、悪霊達と交戦しつつ最深部へと進んで行った。
「護業抜刀法、火燐ッ!!」
「ウウウウウ…!」
零児の炎を纏った斬撃。
「この調子じゃと神楽の奴めも無事でおるかどうか」
「猫探しの次はゴーストバスター? …はぁ」
「うう…」
零児が先陣を切って悪霊を退治していく中、最後尾を歩いていたのが美千恵。
とても具合が悪そうだ。
「大丈夫、ミッチ…? 顔真っ青じゃない…」
渋谷に渦巻く瘴気。至って普通の人間であるミッチには体調まで損なう程のようだ。
「美千恵、儂の後ろにおれ。小牟ちゃんの仙術で気分を和らげちゃる」