入院病棟の様子・生活
病棟の様子
私が入院した病院は、関東にあるとても古い総合病院の児童精神科でした。
外来棟から10分ほど(めちゃくちゃ広いんです
)歩いたところに児童精神科の病棟はありました。病棟は常に施錠されており、勝手に出入りすることはできませんし、外来の患者さんと遭遇することもない作りになっていました。
入院患者は小学生から中学生まで幅広く20人ほどが一つの病棟で過ごしていました。男女別の4人部屋が奥に4部屋くらい、その手前(ホールとナースステーション側)に個室がずらりと並び、ナースステーションに近い4部屋程は施錠可能な個室で対応が必要な子どものための隔離室でした。
とても古くて暗かった
と前回書きましたが、落ち着いた後見回してみるとだいぶ印象が変わりました。古いながらに清潔にされ、看護師さんもドクターもみんな患者と卓球をしたりテレビを見たり、病棟から出られる子(4人部屋の子、一時的にフリーになっている個室の子)は病院の敷地内の広場や散歩コースに連れ出して遊んでくれました。
自然の中にある病棟![]()
という言葉がぴったり
で、病棟前には広ーい!広すぎる野原?があり、虫捕りも蛇との遭遇もできました![]()
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病棟のホールには本や漫画、ボードゲーム、テレビ(見られる時間は決まっている)、勉強スペース、卓球台などがり、ナースステーションからは全体が見えるようになっていて子どもがどこで何をしているかがわかります。
街中とはかけ離れた安心できる閉鎖空間で、限定的な人間関係の中で治療を行える有り難い環境だったのだと思います。
病棟での生活
病棟では、規則正しく生活することを目標にみんなが生活します。朝早く起きてもホールに出ることはできないので自室で静かに過ごし、7時30分頃になると食事の準備が始まり、ホールで食事組は配膳ワゴンから名札のついたトレーをとって食事→解散。。。という流れです。
みんな治療の進み具合や病状がまちまちなので、病棟内で決まった時間に何かをするカリキュラムのようなものはなく食事以外基本的に自由時間です。ホールの公衆電話で家族に電話したり、持ち込んでいるゲームや本を読む子、小上がりの座敷で談笑する子等様々です。
病棟の子どもの半数ほどは、病院内にある院内学級に通っていました。病院の近くの小学校の分校らしく、午前中は勉強しに行っている様子がありました。私も勉強したいなと当時思っていたのですが、おそらく分校に籍を移さないと通うことはできないようでしたので基本的に病棟内での生活となりました。
12時には昼食、その後ドクターと遊んだり面談があったり…また自由時間。
分校に行っていた子も午後は自由なので、女子同士のグループで話したりまるで学校のような空間になっていました。
特に不穏なことが起こることもありませんでしたし、喧嘩もいざこざも学校と同様のレベルのものでした。集団生活での学びもたくさん得られる配慮がなされており、見守りと仲裁のバランスを見て看護師さんやドクターが介入し解決しているようでした。
また毎月一度病棟ミーティングが行われ、みんなで病棟での生活について話し合う機会が設けられていました。
テレビの使い方、騒音問題等、病棟での生活をよくするためにドクターも看護師さんも入って話し合います。
参加は自由でしたので、輪に入らず外側で見ていてもOK、自室にいてもOKです。
出会った子たち
入院中に出会った子の中に、Mちゃんという子がいました。
私が経管栄養が始まって個室に入ったあと、Ⅿちゃんも別の個室に入ってきたようでした。初めて会ったのはお互い看護師さんの見守りつきでホールに出ているときだったと思います。同い年なのにすごく大人びていて少し冷たい印象のⅯちゃんは、どこか諦めのような投げ出しているような悲しい目をしているなと感じました。たまに見せてくれる笑顔でこちらも嬉しくなったのを覚えています。
その後お互いにフリーの時間ができ、ホールで再会し仲良くなりました。病棟では子ども同士お互いの病状や生い立ち等深く語り合うのは良くないとされていたのですが、Ⅿちゃんとは長い時間一緒にいたのでポツリポツリと互いのことを話したりもしました。Ⅿちゃんは両親との不仲と暴力事件、性的逸脱等で児童相談所に入ることになったのだが、そこでもトラブルがありこの病院に送られてきた、と教えてくれました。Ⅿちゃんは大人に対して特に不信感を持っていましたので、ときどき看護師さんと言い合いになっては部屋に戻るということもありました。
本当は優しくて柔らかい部分がたくさんあるのに、何がここまでⅯちゃんを固く閉ざさせてしまったんだろう、と切ない気持ちになりました。友達として、何かしてあげられることはなく…無力感を覚えました。
しばらくは一緒に生活できたのですが、Ⅿちゃんは別の施設に移ることになりお別れしました。
今頃どうしているんだろう?元気で幸せになってくれていることを願います![]()
病棟での生活・その他
お風呂
→大部屋の子は大浴場?のようなところで週3日か4日の開放時間に入浴。個室組はもう少し小さいお風呂に案内され、介助付きや一人で入浴。必要なものはすべて自分で用意するので、足りなくならないように家族に届けてもらうようになっていました。
洗面スペース
→基本いつでも解放。食後の歯磨き時は混み合います。私は一波去ってから利用![]()
トイレ→共用。学校のトイレとほぼ同じ。個室組は各部屋内。
食事→ホールで食べる子、個室で食べる子。
持ち物検査→病状によって、外出や外泊ができるようになる。外から戻ったときは、荷物の中を細かくチェックして刃物、危険物や生活に害のあるものは家族に持ち帰ってもらう。
散歩→午後の時間、先生や看護師さんの都合で行けそうなときは声をかけてくれる。人数確認して出発。1時間近く散歩するとけっこう疲れる。虫捕り、トリムバレー、キャッチボール…等々
院内散歩→体重増やすのが目的だった初めのころは、こっちが多かったです。初めは車いすに乗り看護師さんに付き添ってもらって外来手前の売店まで買い物に行きました。体力がついてくると、自分で歩いて。お菓子・飲み物・漫画・折り紙当、看護師さんに預けてあるお小遣いで買います。散歩はこちらが行きたいと申し出て、その日に行けるか無理なら体制の整う日にさせてね、と看護師さんが声をかけてくれる感じでした。
ありがとうございました
初診→強制入院→経管栄養![]()
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の流れがあまりに衝撃すぎて、初めは不安でしたしドクターに対し「このやろう
」と思ったこともありましたが、時間が経つほどに看護師さんやドクターの優しさに気づいていき、一緒に遊んでくれる大人がいるんだ、という事にも気づき大好きになっていきました![]()
今考えると感謝しかありません。。。この前、あの野原の匂いを嗅ぎたくなって一人車で行ってみましたが、病棟はそのままですが周りはだいぶ変わっていて散歩コースが無くなっていました![]()
病気治すのに30年以上かかっちゃいましたよ、といつか先生に会いに行けたらいいな~なんてぼんやり思ったりしますが、迷惑ですよね![]()
皆さん本当にお世話になりました、心から感謝しています![]()