GPSは違法?
先日、ついに探偵がGPS使用で判決が出ました。
詳しくは下のリンクをご参照下さい。結論は、「違法」という事です。
ムリがあった探偵業法
探偵業法とは、「探偵業の業務の適正化に関する法律」の略称です。
さて。まあ・・GPSは違法というか、自分が付けられたら嫌ですよね(笑)
とはいえ、これには賛否両論あるワケです。
まずは、探偵業者の立場と、お客様の立場の両者を考えなければならないのです。
どういう事かというと、お客様は探偵に安くやって欲しいですよね?
とかく、地方というと、私も地方からのご依頼や、都内のお客様だけど地方に調査に行く事もあるワケですが、
この北海道の探偵に同情するワケではないですが、致し方がないですよね・・・。
何故なら、地方でガチの尾行は、結構ムズイです。見通しの良い道路であったり、尾行がバレやすい環境である事は確かです。
調査の、ひとつの手法として、このGPSを活用する事は当然のように考えられるワケです。
ここで、探偵業法の矛盾点。
探偵業法には、探偵業の定義の中に、〝尾行、張込み〟とあって、〝これらに類似する方法を以て〟とあって、〝実地の調査を行い当該依頼人に報告する業務〟とあるワケです。
尾行に〝類似する方法?〟・・・・それって、
GPSじゃね?
それ以外に、尾行に類似する方法って、何?
そもそも探偵って何?
日本の探偵業法は、消費者保護を目的に草案されて、自民党政権下の議員立法で成立した法律です。
なぜ、消費者保護を目的に作られたか?
業法が成立する以前は、探偵はある種〝何でも屋〟が行なう、ひとつの商品のひとつであった、という事があります。もちろん、探偵一筋だった人もいるでしょう。
もともとは、警察官だった何某が、警察として動くには制約や制限があったため、身軽な身分として探偵となり、刑事事件を解決したという事からであったようです。「シーメンス事件」などでも活躍したと言われていて、それが日本初の探偵業であったとも言われて、諸説はあるものの、日本の探偵〝業〟の始まりです。
あれ?探偵って、主な仕事は浮気調査でしょ?
ほとんどの方のイメージですよね。
警察官としての制約や制限があって・・・というのは、要は簡単に言ってしまえば、「法の下では無理」それが〝探偵〟って事になりませんか。
その通りなんですよ。探偵が、法を厳密に守ってやる商売だとしたら、これ誰でもできる、って事になっちゃいます。
浮気調査をやっている探偵に、「法を守ってやってますか?」と問えば、嘘つきでない限り、「守ってできるワケがない。」と答えるはずで、100%と言って良いほど、法を破ってます。
はい(笑)で、じゃあ、GPSを全く使いません、ってやって、車で尾行しますよね。調査対象者が黄色信号で交差点を通過。探偵は対象者の真後ろにビタリとくっついて尾行しませんよね。って事は、もしもその対象者を追うとしたら、探偵の車って・・・って事になりますよね。道路交通法。これを100%守っていたら、当然の事ながら失尾(見失う)です。
探偵やってたら、こんな経験のない人など、いないワケです。
でも、GPSはダメ。
意味がわからないです。
ただ、何が言えるのかといえば、〝違法だからやらない〟となれば、それはもう探偵ではないとも言えちゃうワケです。
正当な立場にある依頼人が、正当な立場を主張し、自らの損害や被害を未然に防ぐために行われる手段が〝探偵〟であって、そこにリスクが生じるのは探偵だからこそなワケです。
そうでなければ、探偵なんかにならなければ良い、という事になっちゃいます。
ただ、ここで問題なのが、そんなリスクを負ったとして、やっぱり探偵は〝高い〟と言われる事です。
これも確かに矛盾・・・。
探偵の立場とすれば、お客様(依頼人)の〝安くやって欲しい〟を、できるだけ叶えるためには、安くできる方法論を導き出して、それを活用する以外にはないワケです。
GPSも、そのアイテムのひとつではあるワケです。
北海道の判決では、依頼人が付けたとしても、〝違法〟という事になり、そのリスクを依頼人が負うのであれば問題はないですよね。
でも、取り付ける作業は、やりたくない、というお客様が多いワケですし、これは仕方がない事です。
では、GPSを使わずに調査を行うためには、調査のケースによっては、調査員数や日数がどうしてもかかる場合もあるワケです。
この探偵の思惑と、依頼人の認識のズレが、どうしても起こり得るのが探偵という商売なワケで、さらに、ここに探偵業法という法律が絡んでくると、尚、難しい事になってしまいます。
そもそも、消費者保護を目的に成立した探偵業法ですが、これによって探偵業界は本当に消費者保護ができたのでしょうか?
反社→エセ反社(同じ括り?)
たしかに、暴〇団などの反社が排除できたかのようですが、その代わりに、〝探偵業届出証明書〟という〝免罪符〟のようなものができた事で、これを悪用して悪さをする業者も出てきたワケです。
まさに、〝エセ〟反社という人間たち。
600万円の詐欺探偵業者
昨年末、ある、お客様から聞いた話ですが、そのお客様のご主人が、以前、探偵業を届けてやっていたそうです。
そのご主人に、最近になって某県の警察の捜査が入ったというので、話を聞いてみると、以前、某県の依頼人から人探しの依頼があって、調査費用を600万円ほど預かって、そのまま全く捜索活動や調査を行わないのに、如何にも調査を行ったかのようにしたらしいのです。
それが何故かバレて、警察に訴えられたという事なワケです。
他社でも、二人で調査するといって契約し、結局、一人で調査を行った結果、尾行ができなくなったり、結果をだせなかったり、そんな探偵も実際にいるワケです。
これ、全て探偵業の届け出をしている業者です。
結局、探偵業法ができても、本物の探偵が少なくなって、尾行しかできないような探偵ばかり増えたワケです。
本物の探偵はリスクを背負う=報酬
探偵の本質は、警察が介入できない、弁護士ではできない、あるいはこの両者が持つ、制約や制限からお手上げになった部分を、リスクを背負って情報や証拠を集める事なワケです。
ここでは書けないような、昔から探偵が行なってきた、探偵ならではの〝手法〟を、現在の日本の探偵は自ら行う事をしません。
だから、〝尾行〟追っかける事しかできないし、追いかける事もリスクのある事は避けるようになっているワケです。
日本の探偵業の定義は、探偵に定義したのではなく、探偵〝業〟の定義を無理矢理に定めたワケで、しかも、探偵の本質を知らない政治家、議員が作ったものなワケです。
要は、探偵業法ができても、消費者との問題はなくなってませんし、それどころか、業者として届け出をした事が、ある種の免罪符のようになって、過去とはまた違った意味で問題が増えているワケです。
つまり、探偵業法ができても、〝何も変わらなかった〟と言えちゃうワケです。
むしろ、高い料金ばかり取って本物の探偵が徐々に姿を消しているのが、日本の探偵業界の実情なのです。