第2話の続きです。

 

16:59、もうずいぶん日が傾いたのですけれど、相変わらず暑くて、ボトルの氷水を飲みきったら、ペットボトルから水を足して、また飲んでを、旅の間ずっと繰り返していました。

 

17:04、215.2km、せたな町に突入。PC3まであと少し。



17:25、222.5km、PC3セイコーマート北桧山店に到着。巡回中の鉄夫さんGekizaka Cycle CoreさんWTbさんと行き合いました。

 


携行補給食があまり減っていませんでしたので、1個だけ購入。この旅の恒例となった氷は、余ったものはジャージの袖と裾に詰め込んで体の冷却にも使いました。水は、頭からかぶりました。それでも余りましたので、WTbさんに引き取っていただき、有効活用していただきました。この店で買ったもののゴミは引き取っていただき、17:36、停車時間11分で出発(想定クローズ19:42)。2時間という私の脚の割に多めの貯金は、すべて江差町での睡眠時間に充てますので、1分1秒が貴重です。

 


太櫓越峠の上りで、これまで鳴りを潜めていたアブの歓迎を受けつつ下ったところで、WTbさんが追いついてきて、「2人でトレインを組みましょう」というありがたいお言葉を頂戴しました。平坦無風25km/hほどのペースで、ということでしたので、そのペースなら私でも無理なく維持できましたので、2人でクルクル回りながら旅を続けました。

 

我々の水分を奪い続けた真夏の太陽は日本海の水平線に沈み、上弦の月が空の高い位置に上がってきました。マジックアワーの淡い色彩が空を包み、穏やかに波打つ水面がその淡い色を映しています。

 


WTbさんの頼もしい背中です。路面の凹凸など、細やかにハンドサインで教えてくださる気遣いが心強いです。その分、私が牽くときは頑張らねばという思いが強まります。

 


WTbさんと奇岩群。このあたりは親子熊岩などの奇岩の景勝地なのですけれど、日没を迎えたのと先頭交代で忙しかったのとで、景色をまったく楽しまないまま旅を続けました。

 


走りながら前照灯を点け、19:22、八雲町熊石地区に突入。262.6km地点のPCじゃないセイコーマートに立ち寄ることを確認し、クルクルと2人で回り続けました。走力ではWTbさんは私の完全上位互換だと思っていたのですけれど、暑さと上りがやや苦手だそうで、序盤の樺立峠などはひっそりと走っていたそうです。どおりで豊浦町のPCまでお目にかからなかったわけです。

 


19:37、265.1km、PCじゃないセイコーマート熊石店に到着。ホットシェフのおにぎりを1個買って食べたような気がします。なぜ補給食の写真がないかと言うと、店の照明に無数のアブがたかっていて、容赦なく我々を襲ってくるからです。てっきりアブは昼行性だと思っていたのですけれど、夜間の照明には寄ってくるそうで、アブにしてみれば、たまたま寄ってみた明かりの近くにエサとなる動物(ヒト)がいれば襲わずにはいられないのが彼らの本能というものでしょう。意外と長居をしてしまい、19:53、停車時間16分で出発(想定クローズ22:31)。

この後もWTbさんと回り続け、時折話をしながら、国道229号の迂回路の激坂を上って下りて、乙部町市街地でボトルの水を足したくて停まったところでお礼を言ってお別れをしました。夜なので写真がありませんけれど、その後はいつものボッチ走行を続け、21:52、304.9km、PC4セブンイレブン江差茂尻町店に到着(想定クローズ1:10)。巡回中の鉄夫さん(´働ω負`)@ゆっくり一人で走ってますさんのお出迎えを受けました。(´働ω負`)@ゆっくり一人で走ってますさんには塩タブレットをいただき、宿泊予約をしておいたホテルニューえさしに徒歩で向かいました。



睡眠時間を3時間確保したいと思っていましたので、それができる時刻にチェックインできたのは、補給の多くを走りながら行うなど、できる限り停車時間を短くするように努めたことと、何よりGekizaka Cycle CoreさんWTbさんと一緒に(近くで)走れたことでペースを作ることができたことが大きかったと思います。

部屋に入ってエアコンつけて、頭と顔を洗って、ベッドに横になりましたけれど、眠ることはできませんでした。目を閉じて横になるだけでも回復していることを信じながら休みます。グロス15km/h計算だと宿の出発時刻は1:00なのですけれど、復路でも挽回を期待して、1:30ごろ起床、2時間半くらいは横になれたはずです。ウェアと体を軽く洗って、身支度を整え、深夜のチェックインと未明のチェックアウトにご対応くださったフロントマンにお礼を言って、1:57、出発(想定クローズ1:00)。このときはすっかり頭から抜け落ちていたのですけれど、57分の借金生活に突入していました。

 

少し寝たとは言え、往路の疲労を背負っての復路は、さすがにペースが落ち、平坦無風で21km/hくらいの出力が精一杯の状態でした。夜明けの八雲町熊石地区を走る頃には胃腸の不調を感じ始め、停まってオエオエしては、また走り出すという体たらく。幸い大事には至らずに走り続けることができましたけれど、せたな町大成区の奇岩群を楽しむ余裕はありませんでした。この旅全体を通して言えるのですけれど、強い風や向かい風がなかったことはホントにありがたかったです。

 

水で薄めた水色の絵の具を溶かしたような夜明けの空と、その空色を写し込む日本海を左側に眺めながら、北進します。江差町を出発してから、参加者さんと行き合わないんですよね。皆さんどこを走っていらっしゃるのでしょう。もしかして、私がしんがりなのでしょうか。

 

5:16、日本海を離れたせたな町北桧山区の山の中で日の出を迎えました。20年くらいまえの理科教育の論文雑誌だか研究紀要に「近頃の子どもは自然体験が乏しく、日の出、日の入り、月の出、月の入りなどの自然現象体験が少なくなったことは課題だ。こういう経験が自然に対する畏敬の念を抱かせ、人知を超えたものへの理解につながり、ひいては人間教育につながる。」というようなものを見ました。たしかに、9時5時の仕事をしていたりすると、日の出日の入りを意識することは少ないですね。そういう意味では、ブルベはサドルの上で実に様々な自然現象を味わうことができます。容赦なく照りつける夏の日差し、視界が煙るような土砂降りの雨、溶けるような猛暑、油脂類も凍るような厳しい寒さ、目を開けていられないような強い向かい風、草いきれの匂い、そして日の出日の入り。それらと比べて、自分という存在の小ささを痛感するとともに、そんな小さな我々がとんでもない距離を走破してしまうそのポテンシャルの高さに、このブルベというスポーツの面白さや不思議さを感じずにはいられません。

 

誰とも行き合わないまま、6:39、389.9km、今金町まで戻ってきました。

 


7:08、399.1km、強い朝日を浴びながら、PC5ローソン今金町店に到着。Michiaki ISHIDAさんと、もう1人の参加者さんと行き合いました。いやぁ、走っているのは自分1人じゃなかった。

 


Michiaki ISHIDAさんはバス待合所という名の帝国ホテルで1時間ほど仮眠を取って旅を続けていらっしゃるとのこと、あっぱれです。先着していたお二人は先行していき、再びボッチに。7:32、停車時間24分で出発(想定クローズ7:15)。このとき、借金生活になったことをようやく自覚しました。

 

強い朝日を浴びせる真夏の太陽を真正面に見ながら、美利河ダムへの上りをゆるゆると上っていきます。時刻は、まだ8:29なのに、汗が噴き出る暑さにボトルの氷水がみるみる減っていきます。こんな状況で口にする氷水のおいしさと言ったら、何物にも代えがたい最高のごちそうです。それにしても美利河ダムの巨大な姿には舌を巻きます。人類の科学は、技術は、こんな巨大なものを作ることが出来るというのか。このときの気温、27.6度。

 

8:36、419.1km、長万部町まで帰ってきました。国縫までの下りでつかの間の休息を楽しみます。

 


やっぱり三八飯店での食事は叶わず、セブンイレブン長万部大浜店で休憩中のMichiaki ISHIDAさんの姿を確認しつつ先を急いだのですけれど、暑さにやられてしまい、9:34、439.4km、PCじゃないセイコーマート長万部センター通り店に緊急ピットインです。このときの気温、27.3度。

 

この旅何度目かの水と氷を購入。残った水は頭と腕にかけ、氷はジャージの袖と裾に詰め込んで体を冷やします。氷が溶けた水がアームカバーからグローブを伝い、気化熱が体を冷やしているはずです。

 


地元の方でしょうか、ローディーさんと行き合いました。そして、彼は禁断の問いを発しました「どこから来たんですか?」と。ブルベあるあるなこの問いに対して、私はいつも「隣町から」などと適当なことを答えるようにしているのですけれど、この日は暑さに脳みそをやられていたようで「札幌市から江差町まで行って、札幌市に帰るところです」と、正直に答えてしまいました。「えー、何キロあるんですか?」との追加の問いに「600kmです」と正直に答えてしまいました。見知らぬ青年に距離と数字の暴力を発動してしまったことを心から反省しています。そして、私に気づかぬまま通り過ぎて行ったMichiaki ISHIDAさんを確認し、9:45、停車時間11分で出発。

 


長万部町で太平洋を離れ、内陸部へと向かう道は、長い直線が多い上り基調です。数100m先にMichiaki ISHIDAさんの背中が遠く見えます。

 

10:33、455.2km、黒松内町に突入。この旅の写真がPCとカントリーサイン以外に乏しいのは、完走認定と睡眠時間の確保のため、景観を楽しむ余裕がなかったからです。ブログ系ランドヌールとして、あるまじき失態です。

 

第4話に続きます。