2012年現在、世界には実に195の国がありますが、
それぞれ固有の政治的・経済的事情を抱えており、
時には国同士で協力し、時には反目しながら、
この世界地図の中でひしめきあっています。
さて、日本もその中の一国ですが、今の世界は、
まさに歴史の分岐点ともいうべき大きな潮流の渦中に
あり、日本にとって特に警戒すべき三つのリスクが
存在しています。
1つ目のリスクは、ユーロ経済圏の崩壊です。
PIIGSの景気・財政悪化で、すでにはっきりしていますが、
ユーロ経済圏は、財政を共有できない独立国家同士の
寄せ集めでは、うまく機能しませんでした。
多数のユーロ加盟国に対して、ただ一つの中央銀行(ECB)が
画一的な金融政策を実施するというは無理があります。
通常は、貿易不均衡が生じた場合、貿易黒字国は通貨高になり、
貿易赤字国は通貨安になるため、為替レートで貿易の不均衡が
ある程度是正されるのですが、ユーロ加盟国同士の貿易では、
統一通貨のため、そのような為替レートの調整が働きません。
例えばドイツは、どれだけ貿易黒字を稼ごうと、為替レートの
調整なしに他のユーロ加盟国へモノを輸出し続けられるので、
ユーロ経済圏では、とんでもない貿易不均衡が生じています。
最近、ギリシャのユーロ離脱が囁かれるようになりましたが、
根底には「統一通貨ユーロ」という制度への反感があるのだと
思います。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE84J00O20120520
経済的な基盤の弱いギリシャが、本当に離脱できるかどうかは
不透明ですが、他のユーロ加盟国は、どう出るか分かりません。
私は、「統一通貨」という制度そのものに無理があったのですから、
ユーロ経済圏は近い将来崩壊する可能性が高いと考えています。
(1~2年以内かな?)
その場合、日本では超円高・貿易不振時代が到来するので、
当然警戒が必要になります。
2つ目のリスクは、アメリカと中国の対立です。
特に最近は、アメリカ側が中国に対して露骨に不満を表し、
アメリカ企業も次々と中国から投資を引き揚げています。
もともと中国は、改革開放路線とともにグローバル経済に
組み込まれることで、国際協調の姿勢を強めていくことが
期待されていましたが、中国共産党が人民解放軍を
制御しきれていないため、結局は経済成長とともに
中国の軍事的覇権主義を増長させる結果となっています。
(ウイグル弾圧、チベット弾圧、東シナ海ガス田開発など)
それに伴い、アメリカは中国に対する警戒感をしだいに
強めており、中国周辺の親米国と軍事演習を実施したり、
第7艦隊に中国を監視させたり、仮想敵国のような扱いを
とっています。
アメリカと中国の対立が、今後どのような動きを見せるのかは、
正直予想のつかないところで、不気味です。
まして、これから中国は景気減速局面に入り、国内の不満が
たまっていく段階なので、非常に危険です。
中国では、国内の不満を海外へ向けさせようとするのが
常套手段となっており、日本もターゲットになりかねません。
しかし日本は、このタイミングで日中韓FTA交渉を開始しようと
しています。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120514/fnc12051403080000-n1.htm
「デフレの時に自由貿易を促進してどうする!」など、
いつまでたっても学習しない日本政府ちゃんに言いたいことは
山ほどあるのですが、せめて中国には知的財産権の保護くらい
してもらわないと、技術力を売りにしている日本企業が不利でしょう。
3つ目のリスクは、アラブ諸国の混乱です。
シリアの混乱が頻繁に報道されていますが、
現在のアラブ諸国は、非常に不安定な局面に入っています。
その大きなきっかけは、2010年から2011年にかけて起こった
「アラブの春」と呼ばれる民主化運動(革命?)です。
「アラブの春」で当時の政権が倒されたのは、
リビア・チュニジア・エジプトで、特にリビアは、カダフィ大佐の
ショッキングな死体の映像とともに報道で大きく取り上げられました。
ただ、アラブ全体で見た場合には、エジプトのムバラク政権が
打倒されたことの方が、非常に大きなインパクトを持っています。
なぜなら、エジプトの軍隊はイスラム圏最大であり、
これまでアラブの安定に大きな役割を担ってきたからです。
(エジプト軍は、政府とは独立した経済圏を持ち、自動車工場なども
所有している強大な存在です)
それが今、エジプト軍は新政権と国内の混乱によって身動きの
取れない状態になっており、その分、中東情勢が不安定化している
のです。
さて、日本が輸入している原油の9割は、中東に依存しています。
原発の停止で注目された火力発電の燃料、液化天然ガス(LNG)も、
カタール(アルジャジーラ放送局がある国)からの輸入量が
非常に大きくなっています。
(カタールは今のところ、親米・親日の国です)
日本のエネルギー事情にとって、中東諸国はなくてはならない
パートナーであり、中東諸国からの原油や燃料がストップして
しまうと、日本はもはや経済活動を行うことすらできなくなります。
その経済的なインパクトは、ユーロ崩壊の比ではないでしょう。
その割に、日本では中東の混乱が矮小化されて報道されている
ような気がします。せいぜい、「ガソリンが値上がりするかな」程度の
意識でしかないようにも思えます。
国民がパニックにならないための配慮なのかもしれませんが、
せめてこのブログを見ている方は、今後の中東情勢に注意しましょう。
ただ、このようなリスクに対応するためにも、日本は原子力発電の
技術力を向上させておくべきだと思います。
エネルギーの大半を海外に依存し、原発停止によってさらに
その比率を高めようとしている状態は、独立国家として
異常ではないでしょうか。

